ストラディヴァリを鑑賞する ヴァイオリン製作者の見方の場合

ストラディヴァリウスは実に美しい!
どこが美しいか?
製作者的な見方は、
①アーチ膨らみ方、特に指板下の膨らみの立ち上がり・・・
ここは、現代のヴァイオリンとは違う。真横から見ると実に存在感があり 立体的だ。
個体差はあるものの、学ぶべき箇所。
下の写真のは、直ぐにかなり盛り上がっています。Cremonaの "il Cremonese"も記憶では同じ様です。
一般的には、ネック終わりから指板の先端の中央あたりが一番盛り上がっていて、ネックから滑らかに緩やかにしかし、しっかり盛り上がっています。裏側の同じ部分の盛り上がりは、真っ平の見えるくらいに緩やかに中央へ向かって盛り上がります。そこはまた滑らかで 緩やかで美しいです。


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②真横から見るF字孔の下の穴の見え方で彫り方、処理が分かる。
③その近くのウイング先端からF字孔中央の刻み(ストップ)あたりへ、照明で見える
直線、一直線に見える。ここも実に美しい
④F字孔の両サイドの開きが 真横から どう見えるか?角度 開き方、 ストラディヴァリらしい
⑤一周する象嵌(パーフリング)あたりの彫り込み、決して深い訳ではないが、光線で 深く見え
一周するラインが見え そのラインが美しいく、その結果 より膨らんで見える。
特に裏からの眺めは圧巻である。
中央付近の4つのコーナー付近の彫り込みは光線により より明確で美しい。
美しいだけでなく音響的な結果でもある。
光線の加減では、分かりませんが、パーフリングから中央へ向かって、平ではないか?と思われるほど緩やかに、高さが増します。上がり
盛り上がると言うよりは、低くならない程度な緩やかに・・・実際にはこうは見えません。これは近くに窓が有って、その光線があって見えます。
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⑥スクロール(渦巻は、どれくらい深く彫っているか?意外と浅く、しかし立体感がある。
中心の目の大きさ、そこから始まる角を落とした渕の流れ、その太さの変化




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中心線の山の残し方、ここも見どころ。彫り込んだ結果真ん中が残り盛り上がったか?
線を盛り上げて残したか?見れば分かるでしょう?ここも美しい。
どんな楓を使っているか、横から背面から虎杢は どの面が綺麗か?全面綺麗であれば、木材の年輪を斜めの使ってあります。
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⑦木材の特徴
abete rosso(赤樅)であれば、中心は どれくらい年輪が密か?どこまで密か?
abete maschio(ハーゼがある材)であれば、年輪のうねりが どこにどれくらい見えるか>
また中心の年輪の幅は細かいか、広いか?
両端は広いか?総て細かいか?


楓の虎杢の美しさ・・・角度など 特に横板の虎目の角度向きが一周で どう使っているか?
⑧F字孔の上の目の外側の渕は、際立てるようになっていないだろうか?
⑨ニス・・オリジナルの判断は難しいが、総てオリジナルは少ないでしょうが、ニスが取れた部分=特に下地が見える部分は
独特な美しさが見られます。下地に どういう処理をしたのか???などなど深い・・・

気が付くと、この辺が考えられる。

by cremonakuga | 2018-10-07 22:39 | Trackback | Comments(0)
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