久我ヴァイオリン工房
あれこれ・・・・日記
普通のヴァイオリンの音が、デルジェズのような音になりました!
(しかたなく 新しく作り貼ったラベル2000年のままで)
過去2000年に製作したヴァイオリンが有ります。
まあ、音はごくごく普通のヴァイオリンです
飾り物になっていました。
過去の思い出のようなヴァイオリン!
音が普通というのは・・・・
普通に作られているから 普通の音なのであります。
私の言う普通の作り方とは、基本的なマニュアル通りの・・・という意味です。
しかし 音質は透明感があり、以前ある楽器店の店主は
何丁か比べて
これが良い! と言ってくださった。
。。。。が しかし 私には 音量が出ないので不満足でした。
確かに透明感が有って不思議な魅力がある楽器だ!
ちょっと一息元気があったので 箱を開けてみた。
どう作ったか思いだしてきました。
全体に厚く作られていて、形は・・どちらかと言いますとストラドというよりはグアルネリ
自分で作っておいて気に入っていません。
なんで こんなヴァイオリンを作ったのか?
・・・と自分を戒める一品・・・
表板を外し、
・・・そうそうこのヴァイオリン一回落下していてエンドピン脇に亀裂があります。
表板も その後の不用意での割れがあります。
まず それらを表板も横板も裏から修理を施しました。
表板も、裏板も中を 思い通りに削りました。
削る作業をする中で、渕の内側がなんでこんなに厚いのか???
過去の自分にダメダシをしながらひたすら削る・・・・
だんだん思いだしてきました・・・
この時期淵を意識して厚く作っていました。
ただ一か所厚さが足りい場所があった、右F字孔の下ウイング 2.4mmしかなかった。
そこだけ2.9mmに足した。
足すために石膏で型をとってしっかり足した。
あとはひたすら削っていくなか、ついストラド的に薄くした箇所・・ほんの0.2mmだが、小さなスペースも足した。直径1cmくらいですがデルジェズでは大きな問題になる。
これも石膏で型を作る手間がかかった。
そんなこんなで、弦を張って音を出してみて・・・
中を変える事で、外から見た楽器の質が変わった!
何も変わっていない外見が変わる・・・とても不思議です。
なぜだろう??????
1枚板・・・チェロ用の板から取った裏板。
この板は、某楽器材料店の店長 今は亡き友人ですが、彼から電話があり、かなり高かったが購入した。
ヴァイオリンの裏板が2枚とれたが、もう1枚は どなたかにお譲りしたような記憶があります。売れ残りがあると良く連絡があった!この板は、ヴァイオリン用には少し年輪が広い。
肝心の音は、かなり良い音質になった。特にE線が綺麗で、G線も魅力的な音に変わりました。
基本は1730年代のデルジェズに1744年のデルジェズを加味した楽器。
既存の厚さからなので、どれかのコピーとはいかない!
(スクロール目の中心が窮屈ですね!今はもっと上手かも!)
ニスがそのままのアルコールニスなので 不思議な感覚を覚えます。
ニスをオールドにしたら 存在感も違ってきそうです。
しかし これはこれで そのままにしておきましょう!
アルコールニスのぴかぴかも綺麗です。
(忘れていましたが・・接ぎネックがしてありました!なぜ接いだんだっけか???)
この楽器は、何かの時に、役に立てば良いのではと思います。
こういう作業は・・・新作の製作にも役に立ちます。
しかし新作を作らねば・・・・
ちょっと記念撮影!
音は グアルネリ デル ジェズの音になってしまった楽器!左、右は1998年の楽器 ともにアルコールニス
内部は オールドクレモナ・・右は見た目はどうであれ内部はストラドです。
アウトラインは オリジナルに近く、現在のとは大分違うようですが懐かしい楽器です。
左2000、右1998
左2000 右1998
手前1998 向こう2000
2000はその当時のままの見た目の楽器で、良い音色で、魅力的な楽器です。
一定の厚さが有れば、ストラド、或いはグアルネリに近い構造に変えられる。厳密にはヴァイオリンの大きさ、アーチ、F字孔の形状、横板の厚さ、高さなどが重要なので完全には無理ですが、良い音質に改善するのは そう難しくなく出来ます。
外からも削りたい部分はあります。 もっと音は向上しますが、ニスを塗り直す手間で時間をかけるか?
ニスを完全に取って塗りなおすか?これはこれでニスの魅力をかんじます。
そんな時間は、新しい作品に使うべきと思います!