ヴァイオリンのG線が鳴らない・・・とは?(※2014.12.09追加)

久我ヴァイオリン工房

ヴァイオリンのG線が鳴らない・・・という事を良く聞きます。
最近の検索で、そう言うキーワードが有ったため、ちょっと考えてみました・・・・
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まず、
ヴァイオリンの構造は、Gが鳴ると、Eが鳴りにくい
Eが鳴ると、Gが鳴りにくい

最初からならない場合、鳴らなくなった場合・・・
鳴らない原因に考えられる事は、
まず
・・・という事の要因に基本の構造が存在します。

G線が鳴らない原因に考えられる事は、

①表板、裏板が、ぜんぜん音響的に合っていない・・・・そんな状態は年月が経っても、あまり鳴らないでしょう・・・
ヴァイオリンとしての適性な厚さをしていない場合 作りの場合・・・年月が経っても鳴らないでしょう・・・

②G線弦が劣化、古くなっている・・・ほかの弦が古くても影響します。  調弦がほんの少しでも、影響しますし 押さえるポジションがずれていても鳴りにくくいのは言うまでもありませんが・・・

③魂柱が、長すぎる、向き、太さ・・・・E線へシフトしている、長さが短いと 低音は鳴り易くなりますが 反対にEが鳴らなくなります。
駒に近すぎる場合も・・・
通常駒からテールピース側へ3mm下げ・駒端から内側1~1.5mmくらいの位置、太さ6mm基準。
(私の場合、太さ6.2mm、駒から2mm、1mm~1.5mm内側にします)

魂柱が外側過ぎる場合は 0.??mm中へ移動させると低音は存在感を増します。短かったら交換をします。

④駒のサイズが合っていない=⑤⑥を

⑤駒のアールのバランスが良くない・・低音側が低いとか・・テンション不足など・・
 E線で、指板先端位置で線下から高さ3.5mm~3.8mm、G線で5.0mm~5.5mm
駒足首の太さ  G側が太い場合(Eより0.2mm狭くすると良い場合も有る)
私の場合、トレブルで4.2mmバスで4mmくらいを目安にします(楽器でも違います)
しかし、何年か経過し、鳴り過ぎて、新しさ感がある場合は、3.8mmくらいにし、深い音色を出すと良いと思います。

駒の中央下部の厚さが、薄いか厚い場合で楽器に合っていない。

駒のウエストが楽器に合わず、幅が広い(15.5mmが良い場合に16.5mmでは鳴りにくいし、逆もあります)

ヴァイオリンの場合、(Cremonakug基準)足の厚さは、4.35mmくらい、中心下部4.1mm、ハート下3.6mm、ハート上2.7mm(2.4mmも加)、先端1.35mm、前後が良いようです。
また、ハートとループの距離は5mm~6mmの間、
駒足首幅E側、4.2mm(3.5~)、G側4.0mm(3.5~)

極端に厚い薄い場合は、影響があるかも???
裏板が厚い楽器は駒足幅&下部を厚く、表板が薄い楽器はハート上ライン横ヘ・・を薄めに

⑥バスバーの位置がずれている。
アッパーの中心から外へ1/7の位置、ロアー中心から1/7にバスバーの内側が中心線からの位置が基本です。
その結果 駒の下部、端から1mm内側にバスバーが通る位置になるような駒が立っているか?駒の幅が広過ぎか狭すぎか?バスバーと合っていない場合。
⑦バスバーが強すぎる
 イ、太すぎる(通常5.8mm~6mm、同じ太さでも年輪が密な材では、実際には太いのと同じことになります) 
ロ、中央が高すぎ、頂上が厚い(基本高さ、中心で、11.5mm~13mmで、TOPはラウンドさせます端で1mm~3mm、ですが 高さが14mmの場合、底部幅6mmの時、頂上は約3mmくらい)
重すぎる・・バスバーは形成し、4~4.5g

バスバーが表板の振動を妨げている・・・大きなバスバーは低音が良く鳴ると思いきや、鳴りにくくします。

⑧弦が合っていない・・・・Gのテンションが弱い・・強い弦に交換で改善する。

市販の弦では、エヴァピラッチは、G線が少しだけ強いのでそういう時は試してみてはと・・・
ドミナントのセットでしたら、それ自体Eは弱いのですが・・・G線を強いドミナントにするか、D線を強いドミナントにする方法も有りです。低音へ バランスをシフトするには、DかG  またはどちらも強い弦にするか、逆の発想でEかAを弱い絃にし、同じく低音へバランスをシフトする方法があります。
※見えないバスバーが弱い場合は 弦は弱めの弦にすることも有ります。

今は分かりませんが、実際はどうか??ですが何十年前のポスターに
1713年のギトリスさんのSancyには

Eがピラストロゴールド
A ドミナントノーマル
Dドミナント ハード
Gドミナントノーマル
がセットされていました。
多分それを使われているのでしょう!?

Dのためで結果低音のためと思われます。

同じ弦で、強弱何種類か出している弦で組み合わせで試すのが良いのではと思います。
高音が鳴らないも、反対にシフトさせる意味で同じ考えです。

⑨バスバーが弱っている・・・毎日長時間弾くと、数十年で疲労し、交換が必要になる。
⑩バスバーの形状が、ヴァイオリンに合っていない。

などが考えられます!・・・が思い出しましたら追加します!


※製作上では、複雑な技術があります。一般的な低音が鳴らない・・・どれくらいを指すか私には、良く理解できませんが、
イ、あまり激しく弾かず、低音が大きく振動し滑らかに振動する場合も低音が良く鳴ると言われます。
ロ、もう一つは、激しくアタックするような弾き方・・特にソリストなどが必要とする弾き方で、鳴る鳴らないという時は、もっと激しく鳴らないといけない。
そうするためには、実際にストラドやデルジェズが行った方法などクレモナの名工(ストラド、デルジェズしか調べていないのでほかの方法は分かりませんが)の知恵があります。
その方法で処理されたヴァイオリン=名器は、別次元の低音の鳴り方が出来ます。
その方法は、良く鳴る一方、やり過ぎると、鳴りすぎて、逆に鳴らなくなります。どういう事か?鳴りすぎると言うことは、振動しやすくなる事=弓に反応が良すぎて、弓がすっぽ抜けるような状態になります。

低音を鳴らすとは、低音に関係する、沢山の箇所から、どこかを振動しやすくする事です。つまり一か所すると、少し鳴り易くなり、もう一か所すると良く鳴り、そこをもっとやると、鳴りが悪くなり、もう一か所をすると、弓が抜け、鳴らなくなる。 音量も落ちる・・・・涙です!
この事は、丁度良い場合、高音も良く鳴ります。
反対に低音をやり過ぎると、高音もダメになります。

知り、それを調整しようとすると、迷宮をさまようことになります。心神疲れてしまいます。
(知らなければ良かった!・・・と思う事もあります)
無意識に、そういう事を施すことが一番良く、心にストレスが無い。
名器に見る、良い低音とは、そうした絶妙な効果を施した結果に、良い角度のネックを調整し、ベストの駒をセットし、バランス良い弦、丁度良いテンションを、そして良質なアクセサリーがあり、名手が弾くとその効果が表現されます。

だからと言って、ロ、がすべての人に受け入れられるかは、また別です。
難しく作ると、弾くのも難しく気難しい楽器になっていきます。それがはたして誰にでも良い楽器なのか?
全体のバランスを良く作るだけでも充分だと思います。バスバーそのバランス自体が、難しい事です。

イ、の場合は、製作上では、バスバーをあまり高くせず、普通の高さ、幅にし、バスバーを接着する前に、その周囲をその周辺より 少しだけ薄くしてあげると、低音が良く鳴ります。

その時に大切なのは、バスバーを付けて、重心が、中心かより中心に近くなるようにします。
簡単そうですが、なかなか無い楽器です。
また、ある若手製作者さんが、ある楽器屋さんから聞いた・・・・裏板のある部分を薄くすると低音が鳴ると・・・と・・・・おっとっと・・そういえば・・
その楽器屋さんは親しい人で、そんな事をだいぶ前に一杯飲みながら雑談で、話したことが有りました!
その事は、そこだけが低音に良い訳ではなく 表板も関係し、左右のバランス、結果左右に振動しやすくなる・・・と詳しく説明はしなかったが、それも、そこからいろいろな発展が有るんでしょう!良く有る方法です。

ロ、は、シークレット オブ ストラディヴァリ&デルジェズまたは、長年の製作者、それぞれのノウハウと言う事になります。


余談・・・ヴァイオリンの板について・・板が厚いヴァイオリンは鳴らない???について
板が厚いとは、厚い場所と薄い場所のメリハリ=差が少なく全体に厚い楽器だと思います。

一般的なのは
表板では通常中心で3.2mm前後~端で2.7mm程度、裏板で中心4.5mm前後~端2.6mm前後くらい
それより厚いと厚めとなります。

単に厚いと鳴らないという訳ではなく表単独、裏単独の音響的なバランスが良く、表・裏のバランス相性が良ければ、厚い板でも良く鳴ります。
私の例では、裏板が6.7mmでも良く鳴りました・・・ただそれを鳴らすには、鳴らす特別な全体の構造的なテクニックがあります。  そうは言いましても裏板4.5mmと6.7mmを比べますと、弾く技量も関係もし、力も必要になります。鳴らないというより厚い分の強力なパワーが有るので弾くにも それなりにパワーも必要になる・・・・鳴らないという意味より 鳴らし方が難しくなるという事になり、鳴らないではなく 鳴らせない 鳴らせにくいとなり、鳴らないとは根本的に異なります。
単に厚い楽器では、鳴らしにくいではなく、鳴らないという事になります。

薄い板の楽器は、鳴り易いが 直ぐに弱って鳴らなくなる・・は  全体に薄ければ単純に鳴るが芯が無い鳴るだけで魅力ながいパワーが無い鳴りになり、確かにすぐにヘタルでしょう。
あきらかに近くでは良く響くが遠くに音が飛ばない!

ストラフェィヴァリウスや、グアルネリの表板は、1.8mmや2・0mmは当たりえです。しかしその薄い部分を支える部分は3.5mm(普通2.8mmとすれば)あったり、4mmあったりします。
また全体に平均して薄くても、それに強度が出るような仕組みを音響的に組み込んでいます。
薄さの中に強度を作っています。
そういう楽器は薄い部分はとても薄くても弓の抵抗が大きく強い音が芯から出せ、しかし必ずしも力が要りません。そして弾く人には特にE線は、すこい小さな音に感じますが、実際には1mも離れると強い音が出ています。耳に良い音色です。

音響的な仕組みを熟知した結果薄い部分が多く良く鳴る楽器(=名器)は そうは簡単にヘタリません。
それでも、そういう楽器=そういう構造の楽器特にオールド名器は使わない時や、練習、本番が終わった時E線や、全体に半音くらい弦を緩めておく、優しさといたわりが有れば 弱りません。
(音色が回復する時間を逆算に、弦を半音戻す必要もあります・・すぐに本調子にはならないため)

単位10% 20%薄く作れば、鳴り易く 弱り易いという事です。
単に10% 20%厚く作れば 鳴りにくく、重い楽器になります。

3年弾くと鳴るようになる・・良く鳴る楽器は だいたい完成時から良く鳴ります。ただ新しい木材や、魂柱の長さ入れ方などではそういう事が慣れるまで3年かかる弾き込みが必要な場合もあります。
構造的に良い楽器は、最初から良く鳴り、年月の経過とともに、音質も向上していきます。

3年弾くとか1年弾けばは、どんな楽器でも3年も弾けば鳴らない楽器でも少しは鳴りは良くなるでしょう!と思います。

そして、どんなヴァイオリンでも、正確なポジショニングで弾く事が大切です。
正確に弾かないと、楽器は、良い音で鳴らなくなります。

弓で押さえつけて弾くボーイングをすると やはり鳴らなくなります。
駒と指板の中間位置を基準に弾き、強い音は駒寄りを、弱い音は指板寄りを引き分け、決して 力で弾かない事です。

弦は、定期的に交換し、新しい弦と古い弦の違いを敏感に分かるようにしなければなりません。
G線の鳴りが悪いのがE線の劣化が原因という事もあります。
弦は、弾く時間と日数で その性能の劣化は、大きく違いますが、
良い楽器であればあるほど、楽器が敏感で弦の劣化が分かります。
E線を何か月も使い、ナイロン弦は半年、1年平気で、音の変化に何も感じなかったら、感じても気にしなかった、良い楽器を使う意味が有りません。
楽器の音を大切に思うのであれば、
ナイロン弦は、だいたい1か月で、素晴らしい音は減少していきます。E線は、短いもので、数日、長くても2週間くらい。
使わないのであれば、張りっぱなしでも良いのですが、使う時は、絶えず新しい絃で、弾く事が大事です。

鳴らない弦を張ったまま弾くと、鳴らないので どうしても力が入ります。その力が、長年のうちに楽器にダメージを与えます。
よけいに鳴りにくくなった楽器は、必要以上の力を駒から与えられ、ネックにも負担をかけ、ネック下がりを加速させます。

当然表板には悪い影響を与えます。

新しい絃で、一番良いコンディションで、軽く弾く事が大事です!
特に、お高いオールドは そうしないと くたびれてしまいます。









ヴァイオリンのE線が鳴らない
by cremonakuga | 2014-10-24 16:16 | ♪♪ Vnの音と付属品 | Trackback | Comments(0)
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