久我ヴァイオリン工房
ヴァイオリンの裏板のパーフリング=フィレットの為の溝を切る 掘る・・・・ 幅1mmは・・・・かなりデリケートです。 上手く仕上がると、繊細さだ出て美しく、上手くいかないとリカバリーで苦労が多くなります。 この時点で、1mmを下回っています。 パーフリングを入れるため、ストラディヴァリ先生のフィレットをお手本に拝見し、 思いを新たに、真剣に2本の溝線を引きます。 ・・・・と言うより、良く研いだフィレット切りで、押したり引いたりだましだまし切りこみます。 歳なので、ナイフで、切っても、手先の勘の方が優先します。 目で見るより、そのほうが結果が良いようです。 フィレット切りでは、手元をしっかり固定しながら、安定させ、 手先に神経を集中しながら、少しずつ切る方が、 綺麗に仕上がります。 刃先の調整が結構難しく、あまり力を入れると、刃・・2枚が開いてしまいます。 刃と刃の間には、パーフリングを薄く剥いだ木片をサンドイッチしてあります。 それの位置と、刃の出し方で、調整し、 刃自体が小さいので、良く研げているか?自体 磨いている時、良く分からず、指で触って、木を切ってみないといけません♪ 実際に、カットして、幅を確認してから、本番に挑みます・・・・ 本番は、手の触感と、音で、判断します。 コーナーとノチェッタの下のアールは、これは使えませんので、手作業になります。 ※p-フリングを入れながら、入ったものを見ながら・・・・ここはこうしたかったが、思うように入らなかった、ここも・・・ここも・・全体には、感じ良いなあ~・・・・などなど・・・ どんなに、均一で、寸法通りに寸法通りの位置に正確に入った、職人技の正確なパーフリングが入ったとして、はたまた、正確なアールのアーチ・・・左右正確な、0.1mmも誤差が無く、精密機械で作ったような職人技のヴァイオリン・・そんなヴァイオリンが理想か? 私にとっては、良く見ると、左右不均一なパーフリング、完全でない滑らかさのアール、アーチ、左右異なるコーナー位置、F字孔の位置も違う・・・それでも全体には、整っていて、 それで、とても美しい!クレモナの師匠達の名器 絵画や、彫刻など、こよなく愛する工房長としては、ストラディヴァリ先生達は、素晴らしい職人を超え、彫刻家であった。 この事は、日本の木彫を見た時にも感じます。かつて平櫛田中さんの彫刻を見た時、鑿の削った痕に、無駄が無い、その削り痕そのものが、そこに、その状態で無くてはならない痕になっています。 以前自分で仏像の木彫をした時、その削り痕について、その意味を感じたのですが、仮定の話ですが、最終的な形が確定していてこそ、その削り痕は、痕ではなくなる。。。。。 滑らさかな、ペーパーをかければ、どこも尖ったと事がなく、すべすべした面になるのでしょう・・・ そう思いますが、そこまですると、何かが失われるような気がします。何かは分かりませんが、 その最終の形が分かった上で、その一歩手前の刃を残し、ペーパーにしても木賊にしても、最小の滑らかさを出す・・・面と面を完全につながない=そこに凹凸の大きな面がダイナミックに流れるアールが作られる。 しかし、そういうヴァイオリンは見る人によって、違和感を持たれかねない・・・反対にオールドを知る人には 感心される・・・ その仕事は そうすると、力強さと、生命力が感じられます。 その一歩手前は、最終が定まったいないと、出せないラインです。 重複しますが、 なんでもペーパーで滑らかにすれば、製品としては、完成度が上がりますが、芸術性は、同調は、しません。 見る人によって、パーフリングの正確さ、アール、アーチの滑らかさ、ニス塗の均一性など職人的な技術的な面を見るや・・・・ 第一印象で、その存在感を感じる人など、いろいろな感じ方があります。 どれも間違いはなく、正しいと思いますが、ヴァイオリンという音を出す道具でありながら、道具を超えなくてはならないと、道具であることが最低限の条件であった、アートでも有ってほしい・・・・ そんな思いで、師匠達の名器を感じながら、自分なりに努力製作しています・・・・ 一生完全は無い・・・・・・・・・・・・・・ il violino il violino il violino
by cremonakuga
| 2014-08-22 20:15
| ☆ヴァイオリン製作日記
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Comments(3)
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スーさん
at 2014-08-25 12:43
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表面をある程度滑らかに磨いた後、ステインやニスを数回施すと、ツールマークやスクレーパー跡、時にはスクラッチが現れてきます。ここで、再びスクレーパーやペーパーで消すのですが、そのまま、傷を出して完成すべきと考える様になっています。
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cremonakuga at 2014-08-25 17:16
こんにちは!結局、残る痕跡などが、有ってはならない場所に有ったり、気になったりしなければ=良い痕跡、いらない痕跡???
意図しだいではと思います。
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スーさん
at 2014-08-29 12:40
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特に、表板に痕跡が見えてきます。痕跡は製作の過程がステインやニスで再現されている感覚が出ます。問題はそれが出ることで安っぽくなってしまうこと。格好の良い痕跡をそのまま出して作りたいです。
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久我ヴァイオリン工房HP ↓
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