テールピース他について(修正11/22)

ヴァイオリンの附属品で、顎当てにつづいて、テールピースという部品があります。
そして、ペッグ。
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手作り楓テールピース(プレーンガット用)
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ヴァイオリン用など、ペッグ・テ-ルピース・顎当てがあり、セットで使うのが常ですが、
好みで、黒檀(エーバノebano)、柘植(ボッソbosso)、紫檀(サンダロロッソsandalo rosso)・pernambucoペルナンブーコなどを使いわけますが、
それぞれ、その材質の違いが音質の違いに跳ね返ります。それぞれが楽器に合った場合 密度が高く、かつ、音の通りが良い良質なものが、良い結果を生むようです。

どんな場合でも、結局弾く人の好みになりますが、必ずしも、顎当ての裏を削って質量を減らしたり、、テールピースの裏を削って質量を減らしたりしたほうが音が良くなるわけでもありません。楽器によって違います。楽器により、余分な部分であれば、減らすと良くなり、削ってはいけない場合もあります。

※顎当ての場合、自体が振動すると、顎に不快感が伝わりますし、とくに顎当てのアールの部分を薄くし過ぎるt、そうなるような気がします。テールピースも、軽すぎると、軽やかな音になる気がしますし、重いと、落ち着いた音になる気がします。それぞれ高音特性、低音特性に変化が大きい気がします。
材質自体の音への味付けが違うので、いろいろ試すことをお勧めします。
人それぞれ、好みで感じ方が違うので!

反対に、写真のように飾りの金属が付いている場合、たいていは質量が増えます。

※普通は薄いプレート状に金属が多いのですが!
私の、純金のエンジェルは、音のことなど、まったく考えずに、ただ、付けたいと思う気持ちで、彫刻し、製作したもの、付けたら音は良いと喜び、いつも付けていましたが、最近の楽器が、楽器により音に大きく影響し、総てに付けられないと訳です。

柘植に付けた場合と、黒檀に付けた場合、木材固有の音質プラス重さが影響します。
柘植の場合、柘植の良さを残し重くしたい場合は、有効です。このエンジェルの場合は、接着部分の木を深く削り過ぎると、明らかに音の通りが悪くなることを感じます。必要最小限では、良い印象があります。
最新作のストラドモデルには、合わなかったのでパスしました。このような重りになるものを接着する場合は、どこに付けるかも大切です。テールピース自体の重心、見た目の位置、などなど、数値的や、実験はしていませんが、重心は、テールピースの上下が振動しやすくなるため、良くないように感じます。
重心より、少し弦に近く、弦側を押さえるような位置のほうが良いような印象があります。テールピースが暴れないような位置のイメージです。


左からヴァイオリン用、黒檀17g・柘植16g(24k 3~4g)・パリッサンドロ(ローズウド)12g・柘植11g
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フレンチタイプのテールピースが良い場合が有れば、大き目のタイプが良い場合もあります。ある自作ヴァイオリンでは、まずペルナンブーコは音が、芯があり、綺麗で、抜けが良いのですが、音量が少なくなりました。

フレンチタイプの柘植は、どうもテールピース自体が振動してしまい、駒への振動が逃げる感覚を覚え、大きめの柘植で、音が良く出て、音質も素直に出ました。
また、ある自作楽器では、ペルナンブーコのテールピースは、やはりフレンチタイプより、大きめのタイプが しっくりきました。

弦の振動が大きい時、テールピースも一緒に大きく余計に振動すると良くないようです。しかし、確実に音の振動はテールピースを通じ、テールガットから、サドル、エンドピンからヴァイオリン本体に伝わります。耳から、その音の通りが、音の芯だったり、透明感だったり、冷たかったり、温かかったり 大きかったり、小さかったりデリケートに変化します。

弦の振動は、ナットは、指板の押さえた場所から、黒檀の指板を通り、ネックの楓を通り、楽器の箱の肩へと伝わるのと、ナットからと、ペッグからスクロールを通じて、戻る、音の振動の流れがあります。

ネックが太すぎたり、指板が厚過ぎたりすると、音の振動にロスが生じます。
上のナット、ペッグ、指板からと、テールピース、顎当てなどからと、音の振動が上手に流れ交流して初めて、良く鳴るヴァイオリンをいっそう良くなるようにできます。駒がメインで、それを上下で流しています。

つまり、ペッグの素材、長さ太さ、位置も影響し、スクロールの形、大きさ角の処理も音質に大きく影響します。
楽器に有った、スクロールの大きさ、形など・・・・があります。
付け加えると、ペッグボックスに塗られたニス、糸巻き箱の内部に塗られるニスは、あまりしっかり厚塗りされると、あきらかに音に良くないです。個人的には、墨で処理か、外と同じか、少し薄い方が良いように感じています。なんでもやり過ぎは・・・・過ぎたるは、及ばざる・・・です。

柘植でも、良質の柘植の方が、音の伝達通りが良く、高いだけの違いがあります。ただ、それが、どんな楽器にも合うか(良いか)は、そうとは言切れません・・・
デリケートな楽器ほど、その変化が大きく、良さが発揮されることは確かです。
顎当てが、ペルナンブーコの場合、その材質が良いか、どかで、音質は雲泥の差で違います。

※フェルナンブーコを付ける場合は、良いのが、どういうのか分かった上で選ぶことをお勧めします。
年輪が、広く安っぽいのは避けたほうが良いです。だいたい弓材に使えないものをそうした部品類に使うと考えます。弓材と同じような年輪の密なのが良いようです。
 弓材で言えば、ヴァイオリンの弓用は、明るい材料が良いようで、チェロ用は濃い色が良いようです。濃いものは質量が多いものが多いようです。ただテールピースについては、明るい色でも年輪が、ある程度密であれば良いように思いますが、濃い色のを選ぶ方がフェルナンブーコを使う意味を感じられると思います。
 爪の背でコンコンとやると、響きが感じられますが、楽器屋さんで、それをすると、嫌がられるでしょう!
魂柱や、駒をテーブルの上に5cmくらいから軽く落とすと、良いものは響きが違う!それと同じことが言えます。

※余談ですが、魂柱の場合は、60年の木材と、新しい木材、年輪が太く綺麗なものと、細いものとでは、全然音が違う、魂柱の場合は、ヴァイオリンの音質に大きく影響しますが、音量がどうかはまた別なようです。


同じように、黒檀、柘植も良い材質で、楽器の有った質量大きさのもの=良質なものを選ぶことで、楽器の音は数段階違うことは確かです。


難しいですが!
良い物は良いと言えることだけは確か!

より良い音を求め、より好きな音色を求め、楽器に合った付属品を選びたいものです。私の場合は、自分が製作した楽器は、音のイメージが有ります。良い音というよりは、そのイメージの音色を表現するのに一番適した付属品を、絃を選びたいと考えます。

テールピースは、駒トップからの距離を、弦長=ナットから駒トップまでの距離の6:1にします。必ずそのほうが良いとは限りませんが、音響上、現代では、そうしています。弦長330mmなら、ちょうど55mm、328mmなら54.7mmというようにします。


※このテールピースまでの距離は、大切で、音響上も関係しています・・・と言われています。
しかし、その距離より長い場合や、短い場合が その楽器には良い場合もありますので、目安という事になります。

神経質なほど、駒後ろをはじいて音程が合っている、いないと・・・されている方もいます。
その楽器には、それが一番良いのだと思います。

あまり詳しくはありませんが、
ヴァイオリンの場合、弦長の1/6にしますすと、

E線は、厳密には、hの倍数の振動数に近くなりますが、6:1であることで、3:2の関係でもあり・・・音響的には良い関係・・はピラゴラス先生に聞いたところ・・・
A線は、E線の振動の倍数に
D線は、A線の振動の倍数に
G線は、D線の振動数の倍数になるようです。

数字上のお話です。
基本的に、6:1の比率は、3:2の比率と同じように、その2はその倍オクターヴの関係になり音響的に良い状態です。
駒の形、弦の微妙な長さや、弦にまかれた糸など、長さが、そのまま正確に振動数になっているかは疑問が残りますが、だいたい合っていれば、合っていない時より良い感じです。あの見短い距離で音程をあわせるのは、至難の技でしょう! 合っていると思っても、きっとかなり誤差はあるのでしょう!
私が思うには、とんでもなく離れていたり、短かったしない、0.5mm以内の範囲で合っていれば良いのではと思います。

開放弦の関係ですが、さて押さえた時は???押さえた音程とほかの弦の関係が大切になります。その弦で押さえた時、必ずしもその弦の駒からテールピースまでの距離の振動と協和音にはならない・・・しかし、押さえた音程とほかの弦の振動が密接に関係し音を作るので、いかに押さえる音程が正しくないと音に良くないか??という事になります。つまり駒からテールピースまでの音程は、確かに6:1にしておいた方が良いに越したことはありませんが、押さえる音程が正しくないと、意味が薄らぐかもしれない。
ある音大の先生が・・嘆くことに「音程が正確でないので、ほかの弦が共振しないので、音が悪くなる・・・・と言っても・・今一つ理解してくれない!」・・と

結局、テールピースまでの距離は、楽器と、テールピースの大きさ、材質、重さなどによっても距離とまた別な関係があるので、基本は6:1で、より音が良い寸法にし、正確にポジションを押さえる方に神経を費やす事に終始したほうが良さそうですね!

言うは易しですけれども・・・・・・・・・・・・・

この6:1・・・など
2:1・・・完全8度
3:2・・完全5度
4:3・・・協和音
そして12・8・6、、、、、、12・9・6など
ピタゴラス律が・・の・・・・で・・・なにやら難しくなりますが・・・音楽と数学が密接に関係していた古のお話し。
現代の平均律では、少しちがうのですが、単に振動の音響的な考えでは意味が深いと思います。
専門的な事は難しいので、このへんでお終いにします。


また、テールピースの弦の穴のE~Gの幅が、駒のE~Gの幅より狭いのが普通です。テールピースが狭いと、E線は内向きに力が向きます。Gも内向きに力が向きます。駒を揺らす方向に向きます。
もし、駒と同じ寸法ですと、内向きが少なくなり、下向きが増えます。駒の揺れ方が変わります。
どちらが良いかは、別として、少し狭いのを選んだ方が良いようです。

同じような意味では、テールガットですが、2本が、黒檀のサドルに乗っています。この2本の距離を指で、少し狭くすると、駒の左右の揺れをテールピースが受けやすくなります。
これも、どちらが良いかは別として、指で、狭くしてみて、音がどう変化するか、試すことを薦めます。
多分低音は、狭い方が、具合良いはずです。

ちなみに駒のE~Gは、34mm前後です。


※参考・・・テールピースで気が付いた・・・・



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by cremonakuga | 2013-05-26 20:17 | ♪♪ Vnの音と付属品 | Trackback | Comments(0)
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