『音作り Cremona への道』

cremonakuga violino
Caffe o Te

久我ヴァイオリン工房

良い音のヴァイオリンを作るには・・・・・・
(ただし、昔のCremonaの名器の音色が良いと思う場合ですが)

とにかく、素晴らしい演奏を沢山聞くことに終始します。

その素晴らしい演奏とは・・・が難しいのですが・・・・・

どういう演奏が、製作者にとってすばらしいのか?人それぞれ異なります、

私の場合は・・・・・
音楽性豊かな演奏家が、すばらしい名器で、素晴らしい演奏する生の音を・・・

やはり・・・・どういう演奏を聴くか?難しいですが・・・

なぜなら、それがその製作者の音の指針になるからです。
素晴らしいと思う演奏を聞くことで、そうでない音が分かるようになります。

そのうえで・・・
そのすばらしい楽器を沢山見て、手に取って、調べ、音を出し(弾き)、楽器の細部までの構造を音響的に理解し、弾いた時 耳では、どう聞こえるか???・・・・・

それなりの工作技術と、センスを生かし そして、すばらしい材料と相談しながら作ることしか道は無いと思う。


音の出せる美しい家具を作るのではなく、美しい音の出せる温かいぬくもりを感じる魔法の小箱を作ることが目的です。



それに尽きると思う・・・・・・・

ストラディヴァリウス&グアルネリ・デル・ジェズから、教わり音色の再現を試みる。

『音作り Cremona への道』

重点的に調べた 2挺のCremona名器


Stradivarius 1709 Viotti (写真左)
Guarneri del Gesu 1744 Ole Bull(写真右)


Hotelの部屋で、記念に、名器4挺と一緒に撮影していただきました。 


一生に もうこんなことは無いでしょう。2挺のヴァイオリンは・・・・・・
本当に 時代を経た外観も美しい、 そして音色も素晴らしく美しいヴァイオリンです。

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2挺のヴァイオリンを手にした印象は、
Viottiはやけに重く感じました。

そえに引き換え、Ole Bullは軽い!
私が作ったハイフェッツも軽かった!


私達製作者は、いろいろなポスター、書籍などに載っている資料の厚さや、どなたかが 測ったものを いただいた資料で
あるいは、形は、ストラドやデルジェスで、厚さのバランスの設計は師匠から教わった配分で・・など、
それぞれである。


ポスターなどの厚さの資料、本の資料などの厚さは、随分違うようだ!
計り方、計る人でも変わる。
それ以上に違う!それらで作る場合は、鵜呑みにしないで、検討したほうが良いと感じた。

結論は、どちらも素晴らしい音で有った。
裏板のカエデのマレッツァトゥーラ・虎杢が実に美しい楽器です。
こんな美しい名器は初めてです。
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名器のコピーは…・
理想は、実際の楽器の音を聞いて、また、弾いてみて、その音質の印象で、考える必要が有ると思う。

しかし、弾く人によっては、どんな風に作っても見かけの形が ストラド、ガルネリなら それで良いのかもしれない。

私の様に、音を模写しようとしている製作者にとっては、実際の音をインプットしないことには作れない。
また作ったとしても、目標が明確でないと意味をもたないし、自分自信が納得できない。
したがって作る楽器も限られてしまう。
少なくとも、ストラドモデルは、ストラドのような香りの音色でないと困る。



今回は、ストラド、デルジェス計5挺の厚さが計ったがが、
総てを完璧には測れなかった!
同じ製作者の楽器を一度に沢山弾く、見る、測る、触る、叩く 計る…・

厚さの数値は、目安でしかありません。

どうすれば、結果的に箱が近づいたか確認できるか?
それが、作る上で大切だと思います。

出来た楽器が、どれだけ良く出来たか、どこが、どれだけ良くなかったか、誰よりも自分自身が一番良くわかる!


ヴァイオリン製作に大切なことは、本物の楽器を知るを知ること、本物の音色を知ること、そして、本物の演奏を数多く経験すること、そして、ヴァイオリンに対する深い情熱と、飽くなき探究心、最後に、それらを美しく表現し、技を生かせる製作技術だと思います。


現代では、MRIやCTスキャンなどいろいろな機器により、いろいろ解析されてきましたが、完全に同じ厚さに作ることは可能になっても、楽器ごとに全然異なる構造が、なぜか?それでも良い音がする?これらは、根本的な音つくりのシステム、構造、を理解せずして、解明とは言えない。

そのシステム、構造は、そんなにコンピューターや、CTや、など大掛かりなものではありません。すごくシンプルで、理にかなっています。ただ、そこに気が付くかは、適格な着眼点と 音響的な想像力と、深く考える力、好奇心、失敗を恐れないで試す、そして限界まで突き詰める製作をすることで、その過程で、運が良いと、素晴らしい結果を経験出来ることがあります。そんな時、そこで満足しないで、もっと良くなるまでやり通します。そうするとやり過ぎて、その素晴らしさから、崖下へ落とされます。 そうすることで、どの辺が限界か身をもって分かります。しかし、途中での素晴らしい経験をしたことで、どこを、どこまで戻れば素晴らしいかが理解でき、なぜかも見えてきます。 また、リカバリーすることが可能になります。

そうした経験を重ねることで、それらは点から線になり、全体像が見えてきます。名器の内側は、均一ではなく、でこぼこだと良く言われていますが、場所により、総て意味があります。それらが分かると、ストラディヴァリやグアルネリ・デル・ジェズの卓越した凄さが分かり、彼らを超えようとか、追いつこうなどという考えは自然となくなります。

彼らを尊敬し、教わり 自分の楽器に生かさせていただくというような気持ちになってきます。それらの技を、自分が考えた技のように言うようなことは愚かで、小さな気がしてきます。

深いところの謎は、まだまだ、もっと深いところにありそうです。







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by cremonakuga | 2010-05-25 01:35 | ♪♪音の謎♪♪♯♭ | Trackback | Comments(0)
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