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ヴァイオリンが出来るまで・・・

久我ヴァイオリン工房

ヴァイオリン製作日記を編集し、ちょっとの思い付きで、製作工程の写真を集めてみようと思います。
いろいろな作り方がありますが・・・・こうでなければいけないと言うこともありませんが、なるべく製作者の視点で
随時、追加し充実させてていきたいと思います。
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最初に、作りたいサイズのアウトラインを決め、そのアウトラインに対し、2mm~2.5mm内側に横板の表面が有り、横板の厚さの分1.2mm前後内側に型が存在する・・・となります。私の場合は、ストラディヴァリが実際に使った型を作り、そこからヴァイオリンの形を作り上げていきます。結果、完成予定にアウトラインに仕上げます。
結果、アウトラインと横板の寸法は、均一で無くなります。(この方法は一般的ではありません。)
①作りたい形を決め、
②その内側2.5mmくらいの型を作ります=横板が付いた状態の形になります。
③②の形から横板の厚さ分を除いた型を13mm~14.5mmの厚さの内型を作ります
ヴァイオリンの大きさ35.5mmくらいのは、厚さ13mmくらいで作り、
38mmくらいのは、14mm、14.5mmで作ります。横板の高さに関係します。
ちなみに、横板高さ29mm~30mmでは、型厚さ13mmでギリギリです(ライニング8mm+型13mm+ライニング8mm=29mm)
358mmの大きなヴァイオリンでは、横板高さ30.5mm~32.5mmm 型厚さは14.5mm(ライニング8mm+14.5mm+8mm=30.5mm)ストラディヴァリのGパターンの型の厚さは14.5mmあります。
ちなみに、PGは14mm、Pは13mmの厚さです。

④③の型から、ブロック分を正確にカットし除きます。内型完成です。
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これは、アルミ板ですが、ストラディヴァリは厚紙を使っています。
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通常は、左右対称になりますが、私の場合には、実際のストラディヴァリの型のため、コピー型も左右微妙に違っています。
通常は①の完成アウトラインは左右対称にします。
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ブロックは、主に、表板と同じアベーテ=赤樅を使いますが、ストラディヴァリは、サリチェ=柳を使います。
グアルネリは、アベーテを使っています。
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赤い部分を削らず残すのは、Cを接着するとき、ブロックの先端の薄い部分が曲がってしまうためです。


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横板は、横板用の板か、裏板から作った板を、カンナとスクレーパーで削り、最終で普通1.2mm前後に仕上げます。 一番無難で、変形の危険が少なく音も平均的な音が得られる厚さです。
Cremonakugaの場合は、ストラドモデルでは、実際のストラドの厚さからは 1.1mmから0、9mmくらいになっていていますから・・収縮を考えれば製作当時少なくとも1,05mm~1,1mmは有ったであろうと考えます。木材により1,0mmから1.1mm デルジェズモデルでは1.7mmくらいまで作ります。
横板は、厚いと音色に張りと強さを与えます。ただ単に厚くすると鳴りにくくなります。
薄いと、柔らかい音質になり、薄すぎると弱い音になります。横板は、厳密には・・・求める音により・=厚さ*高さ*表&裏板など 他との総合的な関係で その厚さが決まります。

弾く側からは、例えば本物のグアルネリを弾く演奏家には、ストラドの横板の薄めからくる魅力的な音質に不満が有ったりし、
逆に本物のストラドを弾く演奏家では、横板の厚めのデルジェズの音質からくる 明快な美しい音質に 不満を感じたりもします。
それぞれ 好みから外れる場合があります。
楽器が どうのこうのではなく 一定のレベルの楽器は 音質、パワー、操作性・・好みから楽器が選ばれます。
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このような鉄の塊を熱して、水など付け、曲げます。
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当て金板を当てたりしながら・・・真鍮板の手製です。金属の取っては、木製と、アルミ製にしました。
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(poto from /Giuseppe Guarneri del Gesu  volume Ⅱ.Peter Biddulph London1998 )

ストラディヴァリが使った実際の当て木です。
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現代のこの方法、合理的で、穴は使わず、飾りになってしまいます。クレモナの学校では、この方法でした。ブロックがちゃんと付いていないと、力で剥がれてしまう。ニカワの濃さが決めてです。濃すぎると後で剥がれにくくなります。
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裏板一枚は、余分な部分をカットします。年輪が適当であれば、横板に使用します。
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このノコは、良く切れ便利です。直線曲線が、たやすく、押して切ります。
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2枚板は、表板、裏板、それぞれ剥ぎます。
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ストラディヴァリのアーチの外、内の木製ゲージです。
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これはCremonakugaの木製ゲージの一例です。
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パーフリングの溝を切った後、そこを掘るストラディヴァリが使った道具です。
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これはCremonakugaの手製の道具です。
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Cremonakugaのカッターの一例です。
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F字孔は、左右同じにする場合は、1枚でOkですが、実際のF字孔は曲面に存在するので、そのまま移すと、間違いになります。私の場合は、あくまで上下の目玉の丸の位置があって、そこをの本の曲線を繋ぎます。簡易な方法で、おおよそを決めます。数値は、モデルの楽器の実寸で、私の場合、コピーでは、その位置にくるようにします。そのためには、ほかの部分の寸法が正しくないとバランスが違ってしまいます。
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ストラディヴァリは、2箇所穴を、決まった線描きで決め、このような図形を使って繋ぎ線を決めます。
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ヴァイオリンの表板は、一般的な厚さは中心から外へ薄く作ります。
ドイツや、世界共通の一般的なスタイルです。3mm前後から2.7mm前後へ

3mm~2.7mmくらいへ中心の3mmを周辺の2.7mmが同じくらいの強さにします。
この場合、厚さの等高線が ひょうたん形になります。中心の年輪が細かければ、薄め、年輪が広ければ厚めになります。この時裏は中心4.5mmから周辺へ2.5mm~2.6mmと周辺は裏が表より薄くします。
そうする事で倍音が美しく表現出来ます。


もうひとつは、魂柱付近を3.2mm位にし、他F字孔周辺2.9mm他は上部も下部も ほぼ2.4mmにする方法
現代のイタリアスタイル



またもう一つは F字孔に囲まれたミドルを3mmくらいにし、上部を2.4mm、下部を2,6mmに上部と下部を0,2mmの差をつける方法。
その時裏板も同じように上部を2.5mm下部を2.6mmとか、あるいは上部を2.6mm下部を2.7mmなど0,1mmの差を付けます。表板と、裏板の差が裏が厚ければ音量が増えます。同じか裏が薄めの時は、
音質に魅力ま増します。せめぎあいになります。

これは表板の場合、F字孔が有る事と、上下の幅の違いで、0.2mmくらいで、同じ音程になります。
裏は0.1mmくらいで同じ音程になり、上下表裏が、近い音程になります。

Cremonakuga violino・・・
私のようにオールドクレモナの様な作り方では、表板は、外からほぼ中心へ薄く作り、まったく逆の作り方をします。3mm前後~2mm前後。2mmを切るこもあります。必ずしも総て中心付近が薄い訳でもなく、音をどう作るかで決まります。先に述べました、周辺へ薄く作る方法、上部と下部に差をつけるなども 全体の考えに踏襲しています、逆に下部が薄くする方法などもあり、「これなければ」 と決まったマニュアルはありません。
強度を維持すつために いろいろな技術を駆使します。
裏も必ずしも中心が厚くなく、設計で部位が変化します。すべての箇所で 決まった厚さは無く 決まった法則は有り それにしたがって考えて決めます。

作る総てが違う事になります。
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バスバーは、垂直に下がるように、貼る方法と、私のように駒のへりのラインくらいに角度を付ける方法があります。なぜなら魂柱を支点にバスバーも動き易くなります。駒足のクビレの直下にせず、駒足端から1.5mm(~1.0mm)にバスバーが来ます、というよりそうなるサイズの駒を作ります。
表アッパー、ロアー中心位置で、中心から端に1/7の場所を通るように斜めの位置に接着します。
その際ガイドの木片を止めておき、バスバーの位置がずれないようにくしておきます。
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バスバーは、端で高さ2mm~3mm、幅は6mm前後、中央で高さ12mm前後(※山の頂上を3mmくらいにすると、高さ14mmくらいまで可能ですが、大きく高いバスバーは、響きが、揺らぎ音に悪い、自然に消えるようなのが良いとされる),Cremonakugaでは端で2mm、中央、中心で12mm、幅は5.8mm~6.0mm。バスバーは、大きすぎると、高音は良いが、低音が鳴りにくくなる。弱いと、ヘコミ、鳴らなくなります。
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ネックの太さは、大切で細いほうで、18mm~18.5mm
太い方で、19.5mm~20mmくらいで、上から下まで、同じ太さに感じるくらいになります。見た目も平行くらいに見えます。

ちなみに、製作本では
1、19mm&21mm
2、18.5mm &22mm
3、18mm&19.5mm
・・・・・といろいろあります。

※板が厚く頑丈な箱のヴァイオリンは、ネック太目の方が良い場合があり、箱が華奢な場合は、細めが良かったりします。
ネックのトレブルサイド黒檀角は、ほんの少し角を丸めます。
単体にバスサイドは、角を落とさない。裏から見て、黒檀部分が見えるくらいにします。断面が三角がきついと、角が当たって痛くなります。
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指板は、ナット位置で、幅23.8mmくらい、ナット弦溝は弦E~Gの幅は16.5mm(16~16.5mm)が基準です(書籍では、24.5mmとある場合が多いですが、少し広いようです)

指板、駒側で42mm(駒側では、42.5~43mmが有りますが、駒が大き場合は、駒足幅が43mmあれば、指板も幅が広くなります。)駒の弦の幅によります。弦幅は、基準では33mmですが、現代、普通は、33.5mm~34mm少し広めが多いようです。


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駒は、足の幅は41mm~42mmくらいです。
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こんなノミなどを使います。
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補足
正統的な製作方法
箱を組んでからパーフリングを入れる方法・・・・cassa chiusa (カッサキューザ)音に良く美しい仕上がり

一般的になったcassa apèrta (カッサ アペルタ)・・・失敗ない作り方。
表、裏に先にパーフリングを入れほぼ完成さて横板に接着する方法に対しcassa chiuaは、パーフリング部分の厚さ、など結果の厚さが正確に把握できないので、経験そくで これくらいにしておくと・・・こうなるという認識が必須になる。
何か所かサンプル的に彫っておけばおおよそ正しく完成できる。
cassa chiusaは、後でパーフリング部分を彫るため、そこから中心へ、自然なカーブに曲面を均すため、 どうしてもパーリング部分の窪みが際立ちます。この際立ちが 300年前の名器たちには見られ美しい曲面を形成しています。総て滑らかに仕上げてから組むcassa apertaに比べると 300年前の本物の曲面が表現できます。
この事は結果的に音にも大きな影響を与えます。出来ればcassa chiusaで作べきと考えます。



 ・・・・cassa chiusa・・・・カッサ キューザ
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パーフリングを入れずに箱にしてあります。
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by cremonakuga | 2014-11-21 20:45 | ◆ヴァイオリンが出来るまで | Trackback | Comments(0)