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ヴァイオリンに使うストックの木材の表面を(6/6追加)

久我ヴァイオリン工房

ヴァイオリンに使う表板、通称 共鳴版。
Tavola armonicaと書いたか???
ヴァイオリン板ストックの、出番を おとなしく待っている表板・・・・
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ヴァイオリンの個性によって、その板は、使命が異なる。
ストラディヴァリ用、デルジェズ用、ガスパロ用など違う。
ストラディヴァリ、デルジェズ用は、共通します。
一番厳密に、選ばれる板、これでないと作れない板は、なお選択肢が狭められます。
表皮の横への溝は、マスキアトゥーラの特徴です。
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ストラディヴァリウスなどのヴァイオリンのレプリカ、コピーなどは、その年代でも異なります。
沢山の板があっても、その要望に添える板は、なかなか無く、貴重品です。

このうねりに、私は クラクラと・・しびれます! なんと美しいのだろうか!?。。と
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今日は、2000年伐採のヴァイオリン表板2枚、2001年伐採2枚の片面にカンナを入れ、より年輪の個性が、すぐに分かるようにした。

そうしないと、瞬時に判断がしずらい。
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ヴァイオリンの表板4枚の片面だけを削った結果・・・・・・・
ストラディヴァリウス用に使える板が、2枚、とてもきれいなマスキオ材で、No1品質の最高級材。
2枚は、年輪が、ストラディヴァリには使えないが、デルジェズ&ガスパロに向いている。
悪い材料ということではなく、ストラドには向かないが、厚さ配分が違うガスパロには、とても向いている一級品という事です。どれも比重は軽く、年輪などを含めた性能は、強い材木です。
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ヴァイオリンの材木で、あまり良くない材料では、そういう材は沢山見かけますが、根本的な材質の性能が良い、軽く、年輪が強いのが1級品の特徴と思います。それらは見かけは同じですが、根本的にことなり、希少で少ない。
一級品ではありますが、ストラドに使えば、2級品に見えてしまう。
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ヴァイオリン製作で、かつて、そういう考えはなかったから、なんでも、かんでも、こうでないといけないと思っていた。
しかし、名工達が、何を考えているかを厚さと音から、考えると、一元的には考えられない。
昔の名工達、先輩たちは、自分の音のために向いた材料を選び処理している。

ヴァイオリン作りで、つまり、ストラディヴァリ用に、ガスパロ用を使うと、良くない材料を使ったということになる。
ガスパロにストラディヴァリ用の材料を使うと、見かけは良いが、ガスパロの音を作るのに苦労し、どうやっても、どこか違う音になるだろう。
なぜなら、理論的には、広い年輪幅は、厚く削り、細かい年輪幅は広めに削り・・することで、ある程度は修正できますが、縦横、斜めの強さまで、同じに修正は不可能です。顕著に音に現れます。
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ヴァイオリン材木を眺めているのが、私はとても好きです。アベーテの心地良い香りがに癒されると同時に、いろいろな発想が浮かんできます。

コーヒー飲みながら、次回のは???
ワインの飲みながら、今度のは???
こう作ったら、効果的だろう??・・・こういう音になるだろう???
そうだ、17??年のストラド に向いているかも??
あれに似ている・・・・
・・・・と・・・
とても楽しい。
その時点で、ヴァイオリンの80%は完成していると思っています。
そうやって木にこだわらないと、名器のコピーなどは、最初から脱線している事になる。
そこまでしても、名器の復元をしようとしても音まで、たどり着こうとするのが難しいと考えます。
イタリアアルプスのヴァルディフィエメの美しいアベーテマスキオで、
中心から、外側へ均一に徐々に広がる年輪の木材は、少ない。

知らない人が見ていたら、何か変な人に見えるに違いない・・・・・・・・

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ストラディヴァリウスのヴァイオリンに使える2枚、2枚はデルジェズノヴァイオリンに使える。それは、1713年から1716年くらいまでに最適。1710年1720代には、向かない。サイズも355mmくらいのヴァイオリンサイズに向く。

ヴァイオリン今回のヴァイオリン表板4枚は、
アントニオ・ストラディヴァリウス用
1、ストラディヴァリ・・・アウレアAurea1715&Titian・1715・・・・2001材
1、ストラディヴァリ・・・Goldman Milstein・1716・・・・  2001材

グァルネリ・デル・ジェズ用
1,グァルネリ・・・Plowden・1735・・・・・・   2000材
1,グァルネリ・・・Kochanski・1741・・・・・・・ 2000材
に使えます。年輪分布が良く似ています。


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これは、年輪がレゴラーレ(均等にしだいに広がる・・・)ではありません。
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この状態では、年輪を正確に見ずらいです。
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※木材のアップでは、それがどれくらいの幅の年輪か、分かりずらいのでえメジャーを添えました。
長さは、適当ですので、1cm、1mmのみ参考にご覧ください。
2006年イタリア材 アベーテロッソ(赤モミ) 原産国保証書 シリアル No.6007
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1715年ストラディヴァリレプリカ用に良いと思います。



2007年イタリア材 アベーテマスキオ(ハーゼ)  ファーストクラス材 原産国保証書シリアルNo.7002


中心になる場所で0.5mm~1mm近くの年輪です。
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端なる箇所で1.5mm~2mmの年輪間隔
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1715年のストラドのレプリカには理想的な年輪です。
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1995年 イタリア アベーテロッソ(赤モミ) ファーストクラス 原産国保証書シリアルNo.50031

メジャーの21cm目盛りくらいが、1mmに2本年輪が入りそこを中心に接ぐことにします。〇印あたりは少し広めなので、注意が必要でマークしています。ここは予定より気持ち厚くします、決して予定より薄くしないようにします。
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端あたりが、年輪間隔が、1.5mmくらいです。
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全体の年輪の間隔です。
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1710年前後、1717年以降のストラドレプリカ用には最適です。 もちろん1715年にも使えます。


年輪が、中心で、0.5mm幅~端で、1.5mm~2.0mmに少しずつ広がる幅の、軽く強い木材が理想的です。
こういう木材は、抜けが良く、清々しい自然な音質が得られます。

一方、中心が細かく、交互に広がりが分布している木材でも、決して悪くありません。そういう木材であっても、産地が、イタリアで、軽く強ければ、良い性能を発揮します。
均等に広がる良さは、音がスムーズに流れるため、音の抜けが基本的に良く仕上がります。
均等でない木材は、思ったより強い音が、張りのある音質が望めます。
・・その理由は細かい部分が、目には見えないバスバーの役目をします。以前書いマスキアトゥーラは横にバスバーが付いた効果で、板を強くします。
本のすこいの強さ=厚さの変化は、独特な美しい倍音を発生させます。
ここでイタリアと言うのは、ブランド志向ではなく、もともとヴァイオリンに理想的な気候が北イタリアで、中でも私が目指す名器のレプリカでは、鳴りだけでなく、音質が向いていると思うからです。

良く響くヴァイオリンを作るのであれば、スイス、ドイツ、アメリカ、カナダ、ロシア、その中で、良いものを選べば問題ありません。私にとって大切なのは、木材の縦と横方向、そしてその合わさった 捻じれの強さのバランスが、300年前の名器のレプリカを作るには適度に良いのです。
今も、盛んなハッチンスさんの様に、M5 M2 M1をオクターヴに合わせるには、あえてイタリア材でなくて充分です。私の場合は、M5 M2は、オクターヴにせず。M2を低くします。名器の多くはそうなっていて、それは微妙なデリケートな独特な音質に反映されます。


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by cremonakuga | 2014-02-01 17:26 | ◆木材は? | Trackback | Comments(1)

久我ヴァイオリン工房で使われている材料は?

Cremonakuga violino
久我ヴァイオリン工房では…・・


北イタリア、ヴァル・ディ・フィエメ産の私が最高と思うabete rosso,abete maschoを表板に使用しています。
赤樅は、松科唐桧族です。
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この赤樅材は、軽く、強いのが特徴です。

他に20年前後のイタリア材などもストックしています。、

(直射の陽射しの当たらない、 2階の なるべく風通しが良く、乾燥した場所で、出番がくるまでお休みしています。 ワインが静かに休んでいるよに・・・熟成しています)



ヴァイオリンを製作するには、よく腕と、技術と言いますが・・・・・、
腕があれば、材料は関係無い、と言われることもありますが、
弘法…・・工房 板を選ぶ!・・のであります。
私は弘法では有りませんが、それでも身に染みて感じます。
「ヴァイオリン製作者、板を選ぶ」が正しいと思います。

例えが、良くないかもしれませんが、素材が命、の料理と まったく一緒です。

イタリア料理も、素材が命で、Cuocoが腕をふるいます。
ヴァイオリン製作者、私も良い材料を目の前にすると、腕がふるえ(震え!)ます。
結果の予想もつくからです。

反対に、悪い材料では、結果も見え、製作できません。
自分の努力が、100%は活かされない、無駄な労力を使うことになります。


ほかにもイタリア材で15年、30年寝かしてあるもストックしてあります。
裏板は、ヨーロッパ材のカエデで、やはり15年以上寝かせてあります。
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良い材料を使ってこそどんなヴァイオリンメーカーも腕が活かせ、良いヴァイオリン誕生を可能にできます。

久我ヴァイオリン工房の作品が、軽く、オールドの音色に近いと評価されているのは、良質な材料に加え、名器から学んだ技術を生かし、無駄な贅肉を そぎ落とし、また、300年前に、そうだったバランスの厚さに戻し、ただ薄く作るのではなく! 力の関係を考慮し、現在は、なるべく、昔の作られた当時の厚さ作り方で作ります。

ある楽器の作り方では、厚く作る場所は、ある楽器では、薄くしなくてはなりません。反対の場合もあります。

どういう楽器を作るかで、1挺1挺大きく異なります。

その製法は、Cremonaで学んだのではなく、Cremonaで生まれたオールド名器から直接教えていただいて得た知識と、日々の仕事、音への取り組みから創られます。

ひとつ ひとつ こころを込めて名車を 組みたてるように、デリケートな感性で作られ組みたてられ、一つのヴァイオリンとして完成されていきます。
とても デリケートなヴァイオリンです。

木材は、大切な素材です。

見た目、そんなに良くない材料でも、音響的に良い場合もあれば、そうでない場合もあります。年輪の変化は、中心から、自然に広がる材料が良いのですが、そういう完璧な材料はなかなか有りません。しかし、良い材質であれば、その年輪を厚さに、変換しすることはできます。

手間がかかりますが、しかし、見た目綺麗に年輪が入った材質でも、思ったようなバランスに出来ない材料もあります。それは使ってみないと分からないことが多いのですが、密度を調べることで、だいたい分かります。
それは、産地で、ヴァイオリンに向くか、向かないかだいたい確定します。そこの気候が、木材を作ります。
どんなに美しい楓でも、縦、横、ねじれの強さがヴァイオリンに向かないと、音響的に良い効果を得られません。

良い材料=音響的に、を使わないと、昔の名器に近いバランスに板を仕上げられません。
どんなに、見た目ストラディヴァリのようなコピーができたとしても、音は、絶対に近づけません。

古い板が、必ずしも良い訳でもなく、もともと良い材料で古いのが良いと言えます。
良い材料であれば、5年くらいの新しい材料でも十分使えます。
30年経った、ふつうの材料と、5年の良い材料であれば、5年のを使った方が良いということです。
久我ヴァイオリン工房で使用している表板は、ほかの板と同じ強度で作ると、軽くでき、完成した表板で、かなり軽く仕上げられます。

見た目綺麗でも、音響的に今一つの材と、見た目目立たないが音響的に良い材では、当然後者が良いのです。
表板も、裏板も、だいたい産地が優先します。
年輪が不均等な表板は、より高度な製作をする時に必要となります。

表板・材料はとても大切です。

単に、全体を薄く作れば、軽くなりますが、それとは全然意味合いが違います。軽さは、基準の強度をきっちり担保し、製作した結果に軽く仕上がる事・・・・基本の木材ということになります。

楓も、今まで使ってみてやはり、ボスニアあたりのヨーロッパ材が良いようです。
昔、頼まれて、中国材を使った白木完成品をバラバラにし、音響的に修正のため、削ったことがありましたが、その中国材に関して言えば最悪でした。もちろん表板も最悪でした。
そういう材料は見るのも抵抗があります。 
中国がどうのこうのではなく、その気候と木材のDNAの違いから、強度バランスが悪いのだと思います。
先が推測でき、作る時間を無駄にします。
触る気さえしません。
更には、そういう材料でも良く鳴る楽器は創れますが、いろいろなニュアンスの音色が出せるヴァイオリンは難しいようです。

ドイツ材も、然り、大方、ストラディヴァリが使った材質とは異なり、強さのバランスは違い、使いたくない(表板に限り、裏は可能)、イタリア材でも、いろいろあり、なんでも、かんでもイタリア材なら良いという訳でもありません。特定の産地(気候が最適な)で、とくに年輪が細く、密で、しかも強い材料、そういう材料は最高を目指すヴァイオリン用に使えます。
裏板に関しては、ドイツ材も問題なく使えるものも有ります。

どんなに美しくても、バランス的に、音響的な強度が足らないと、ストラディヴァリやグアルネリと同じ音響的なバランスに仕上げることが不可能になり、再現の最初の段階から、ずれてしまい、最初のハードルをクリア出来ず、向かないと言う訳です。

それだけ、名器の再現には、向く、良い木材があってこそ、チャレンジが出来るという事になります。

モダンの名器の再現には、もう少しハードルを下げた、いいえ、そういう材料のが適していて、それらの材料が使えます。

ここで言う、良い音を創るという意味は、単に大きな音で鳴るという意味ではなく、その音質を創るという意味です。


ヴァイオリンは材料が命です。

最高の材料とは、北イタリア ヴァル・ディ・フィエメの中の良い材料か、同じ強度バランスを持つ綺麗な材料のアカモミ・アベーテロッソ、ボスニア・カエデか、同じような強度と美しさを持つカエデ・アチェロ、そして、付属に使う、イタリア柳サリチェ、出来れば古く寝ているものです。







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Kuga Violin Atelier(久我ヴァイオリン工房)
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by cremonakuga | 2008-01-25 18:29 | ◆木材は? | Trackback | Comments(0)