ヴァイオリンの板厚を考えながら削る・・・・

久我ヴァイオリン工房

ヴァイオリンの製作で板の厚さを削る作業は
一般的には 既存の種々の図面=グラデュエーションがあり、
その厚さにそって削っていきます。

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その図面は、師匠からであったり、オリジナルであったり、マニュアル通りだったりします。

私も、その図面は、自分が実際にストラディヴァリやデルジェズを計測した厚さから作った図面を主に使います。
木材の違いや、経年収縮などを考えながら音響的にオリジナル(本物の音響)に近くなるよう厚さを修正し、読み替えて削ります。

今の作業は、そうした図面を使わずに、実際にストラディヴァリが そうしたであろう作業をしています。
どういうことか?と言いますと、図面は無く、思う意図にそって 厚さを削っています。
図面は、音響的なルールの図面が見えないが、頭の中には存在しています。

裏板をどう削るか?で表板が決まり、表板をどう削るかで裏板が決まります。
どこかを削れば、ほかのどこが決まります、そうしますと また ほかが決まります。
無限に選択肢があります。
1丁1丁まったく 違った発想で厚さを決まられます。1丁1丁まったく厚さ分布が違う楽器を作れます。

まさに自由に削ります。
ただ、決まったルールから外れないようにしなければなりません。
そのルールとは、今回はストラディヴァリモデルですから、ストラディヴァリ先生のルールに従います。
グァルネリモデルでしたら グァルネリ先生のルールに従います。

要するに、思った音色、音量を得るために、どうすれば良いか??を考えながら削っています。

今作るヴァイオリンは、こんなイメージに沿って その効果が出る様に大切な場所を造作しています。
①音がダイレクトに発音する楽器
②クリアーな音色を重視
③E線の音がしっかりした楽器で、そしてハイポジションまで楽に出せるように!
④G線は、柔らかく大きく鳴るように
⑤音量が有る楽器
⑥反応が速い楽器

そう作っても、なかなか満足いくものが出来るのか?基準を高くすると難しさも高くなります。

一般的な作り方、同じものを創られている方は、何を言っているのか???沢山作らなければ良い物は出来ない、100挺も作れば良い物が出来る・・・と思われるようです。ただ100挺作っても意味はない・とまでは言えませんが、同じ枠の範囲内にとどまると思います。
サッコーニさんの厚さで100挺作れば その範囲プラスマイナス内、ひょうたん型のグラデュエーションであれば、その範囲プラスマイナス内・・・決して ストラディヴァリやデルジェズの香りまでは行着けない。
300年前の先生たちの仕事の意味を確認し、ひとつ 一つ 厚さの意味を 100挺、200挺作る以上の検証をしてきました。 同じ事を実際にした人でないと分からない事です。真似しても真似であって、模倣から始まるスタートラインです。自由に作れて初めて 300年前の空気に入り込めるのだと思います。
by cremonakuga | 2015-05-21 22:26 | ☆ヴァイオリン製作日記 | Trackback | Comments(0)
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