ストラディヴァリウスって本当に良い音? 2022改訂

2015年 新年に思う独り言・・・・・・♪

ストラディヴァリウスは本当に良い音なのか?
・・・・そういう言葉が・・・・巷で聞こえる

そんなことを思っていらっしゃる方に・・・・

お正月の聞き分けストラディヴァリウス♪ 一流???それとも三流???それとも???


A.Stradivari &My left hand
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Guarneri del Gesu and my left hand
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私事ですが・・・・・
なぜ、ストラディヴァリやグァネリばかりを狂ったように、真似させていただき作るのか?
多分、そういう疑問を少しでも持っている方には、不思議に思う事でしょう。

ストラディヴァリって、デルジェズってそんなに良いの?って・・・
現代の楽器に、ブラインドテストで負ける事が良くあり、知られている・・・と!
新作のが良い音だ! Stradivariusはただただ骨董品の価値だ!とも言われることがあります。
価格は、別に置いておいて・・・音に関しては どうでしょう???

ヴァイオリン製作に関しては、クレモナの現代の名工達からも聞くことがあります。
新作は あと、300年経たないと本当の音は分からない・・・
そして、誰が弾くか?弾きみ熟成し、音が良くなっていく・・・・
それは正しい回答と思います。

もう一つ加えると、名器は最初から名器の音だと言えます。

良い音とは、本来持っている楽器の音響特性が優れている場合と、経年で木材が音響的に良く変化する事、
普通のヴァイオリンは、経年分は、音は良くなりますが、基本的な音響は 大きくは変わらず名器になる可能性は低いです。
そして、上手な弾き込みで音が出やすく、弾きやすく、デリケートな微妙な音色も出てくることで、確固たる個性が存在してきます。
最後に、大切に扱われる事を付け加えないといけませんね

恒例の正月の一流・三流・普通の・・・番組を楽しみにしていましたが、その場面だけ見損なった!
残念・・しかし、毎年実は我が家の安いTVでは良く分からないのが実際のところ・・・
ですが、大体もちろん当たります。
音もですが、なんとなく楽器の色で分かってしまい、弾き方でも分かってしまう。
自分自身では、私が外しては、自分に対して・・・いったいどうなんだ!・・と言うことになってしまいます。
実際に生で聞くと、その良さは倍増するのでしょうが!?

ストラディヴァリウスは、沢山存在しますが、もう大方寿命になっています。
つまり状態が良く、修理の少ない楽器で、出来が良いのは、素晴らしい音がします。
名前が先行する、修理が多く、もともと出来が良くないものは、それほどではありません。

本当のストラディヴァリウスの音を聞きたかったら、音響の良いホールで、最高の演奏家の弾く最高に状態の良いと思われる
ストラディヴァリウスでの演奏を聴いてみてください。できれば、ソロが良いです。 
その時、何年製か?を知っていてほしい。

席は、前から10列以上15列くらいは離れて聞きたいものです。一番前は頭の上を良い音が飛び去るからです。
大きなホールでは 一番後ろも、本当に良い音の成分は届かず、壁や天井からの余韻が多く含まれ真の音質はただただ美しさ心地よさしか感じられません。
ストラディヴァリウスのF字孔が見える角度以内で近からず、遠からず・・・日本では多分S席では 2万円くらいする事でしょう。
高度な演奏技術で、その名器を使いこなさないと その良さは発揮されません。

急に誰かが、それを弾いても、その良さを引き出すのは不可能で、楽器が奏者を選ぶように、楽器に合った弾き方をしないと効果が出せないのです。

そういう演奏を数回か聞くと、多分 ほかの楽器とどう違うか分かるようになると思います。
今聞かないと、もう名器の本当の音色を良い状態で聞けるチャンスは少なくなり聞けなくなるかもしれません。
そういう意味で今生きる皆様は、素晴らしい年代にいます。

名演奏家は、CDでしか聞けなくなりましたら、楽器そのものがなくなりつつあります。

作る立場からは、誰も教えてくれない、知らない事を教えてくれる偉大な師匠としか言えません。
なぜ良い音なのか?最初から構造が、音響的に緻密に考えられ隅々まで手を加えられて作られています。

作りが良いとされるストラディヴァリウス。
作りがゾンザイと言われるグァルネリ・デル・ジェズも、本当は製作技術はストラディヴァリをしのぎます。
見た目、ぞんざいに作ったヴァイオリンも、内部は、その音響的な構成は、ストラディヴァリもしなかったことをしていて、彼らが現代の製作者が、しない、教われない高度な完成度を
その小さな箱に、ギュっと詰め込んでいます。
音響を調べる機器もなく、アナログで作ったヴァイオリンは、今も現役で活躍しています。

本当に良い音なのか?その質問は、
本物の演奏を、音響の良い空間で、楽器のF字孔が向くある程度の距離から聞く。
それで、どんな音か?考えてみてはいかがかと思います。
その後、いろいろな楽器の演奏も聞いてみてください。
そうすると、多分分からなくなる筈、
もう一度ストラディヴァリウスの音を生で聞いてみてください。

弾く人は、自分が長い年月弾いている楽器の音を、心地よく感じ、似た音色や、弾いた感じが名馴染み好感を感じます。
本当に良い音か、弾きやすいか、客観的に感じるためには、人が弾く音を聞き、演奏技術と一緒に楽器そのものの違いの音を聞く事が、とても大切です。

特に若いうちにそうした習慣をつけないと、自分の形が決まり、そこから出られなくなります。
製作者もまったく同様で、いかに良い楽器を見て、弾いて、聴いて・・・をしないと何が良いのかが明確でなくなってしまいます。

ただただ鑑賞が趣味で、ヴァイオリンの音が好きな方も、ぜひ高価なチケットで聞いてみてください。
その時、世界の頂点?か、近い演奏家?を聞かねば意味がありません。

その時、現代に楽器をどうか?もう一度考えるのも意味が深いのではと思います。
クレモナ名器の音の良さ、現代の新作の音の良さの意味も明確になると思います。
そうすれば、「ストラディヴァリウスって良い音なの?」と聞いたことの回答が得られると思います。
「グァルネリ・デル・ジェズ」も 然りです。
バロック仕様でも現代仕様でも、良いものは良いのです。
良いと感じた人にしか分からない
説明できない音色・・・・
ぜひぜひ、試してみてください。
良いと感じた人には、私がストラディヴァリウスと対話し作る気持ちが理解できると思います。

・・・と言うCremonakugaは しばらく聞いていません、最後が、2013年12月 ヨアヒム・エルマン1722は、2回目の見る機会を得、コンサートは会場の音響が今一つでした、その前が2011年 文化会館でギトリス 1713 サンシーは何度も聞いていま席が一番後ろで、老齢のせいで、音量が小さかったが、別世界の音質でした。その前は、パールマンSoilでサントリーホール席は5列13番目で この時は反響を避け、楽器の生の音を聞くという目的で近かった、左の席で、F字孔が向く向かないで、聞こえ方が分かれたが、音が来たときは、その良さが楽しめました。そろそろ聞かないと耳がなまってしまいそうです。
私は、素晴らしいと思いますし、ぜひ その感覚を共有していただきたいと思います。楽器製作者であるため、あそこのあの音が新作では出せない・・とか、あの品が新作には無いし、なかなか作れない・・・と細かく比較します。その結果良いと思うわけです。大きな音がすると良い音と勘違いしそうですが・・・・・・さにあらず・・・・
しつこいですが・・・・

条件
①世界的な名演奏家でできれば、まだ現役であること
②世界的に有名で、活躍している元気なストラディヴァリであること 晩年を避ける1700~1729くらいまでで、1715前後であればより良いです。
③音響の良い会場
④前から10列くらい前後で中央付近 2階席は、近い場合は真横は避けF字孔が向く範囲
⑤現代曲をさけ、ソロなどで聞きやすい曲
⑥聞いた事が無い曲は、事前にCDなどで慣れておく

是非是非、良い弾き手で良い楽器のコンサートを良い会場の良い場所で、聞く事をお勧めします。

結論
ストラディヴァリウスの音を理解した人にしか その良さは分からない。

それは、たびたび聞き感動し その音の表現力とノーブルさ音質の特異性をデリケートに感じられる感性がある人。
というか??好みの問題かも知れません。
そしてあとは・・・ストラディヴァリを所有し一心同体になっている人。

その人達以外には、分からない。 つまり 分かる人にしか分からない。分からない人には分からないとしか言えません。
現代の楽器の音に慣れていると、それが良い音と感じます。そういう楽器を弾き慣れている人もそれが基準となりがちです。

同じと感じる人は、その違いが分からない訳で、違うという人は その違いが分かるという単純明快。
だから論争は無意味ということになります。
訓練で分かるようには成れますが。
ただ ブラインドで聞き分けられるかどうか?・・・は別な話でストラディヴァリは、弾き慣れた人が弾かないとその良さは出せないからです。慣れない人が弾けば逆に楽器は鳴らずに高音は綺麗な音が出ない・・・

ストラディヴァリも現代の楽器も変わらないと言う人は、それを感じる感性が無いと言っているに等しい。
勿論良いストラディヴァリです。現代の良いヴァイオリンを否定しているのではなく・・・・
苦しいようなしゃがれた音を枯れた音と感じるか?キラキラ繊細でノーブルな音を、柔らかな音を枯れた音と感じるか?
ギラギラわかりやすい倍音の大きな音が綺麗か?音量は別にして細やかで複雑でキラキラした倍音が綺麗か?
これも好みです。しかし コンチェルトでは、どんなに綺麗な音色でも音量が無い名器よりは派手な大きな音で、ハッキリした倍音の楽器の方が演奏効果が大です。かえって新作で良い楽器の方が良い場合があります。

そして
どんなに有名な演奏家でもストラディヴァリウスを弾きこなさなければ 良さは分からない。
アマチュア演奏家でもストラディヴァリを弾きこなしていれば その違いが分かるだろう!
ヴァイオリン製作者が それを言ったら・・・天頂を知らないという事になりそうだ!
ただ ストラディヴァリウスでも現役で最高の楽器の音との比較でですが・・・・
そういう事です。

オールドクレモナの秘密・・・・
ストラディヴァリ&グァルネリ デル ジェズも、どちらもE線が鳴るようにハイポジションまで・・・、G線も鳴るように作られています。
同じ作り方をしています。それは、滑らかに弾く場合よりアグレッシブに弾く時に威力を発揮します。それから反応が良くなるように どちらも どちらも工夫がなされています。明らかに それらは現代では秘密の一部としか言えません。

by cremonakuga | 2015-01-10 19:45 | ♪♪音の謎♪♪♯♭ | Trackback | Comments(0)
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