ヴァイオリンのE線が鳴らない(2016、4、28訂正)

久我ヴァイオリン工房

ヴァイオリンのG線が鳴らないというテーマを以前、思いつくことを書きましたが、E線が鳴らない・・・
について、検索がありましたので、思いつくことを書きます。

その前に・・・
一般的なヴァイオリンは表も裏も厚さは左右対称に作られています。
新作楽器を基準に考えます。弦も新しい場合・・・
(新作~せいぜい20年くらいの楽器について)
駒のプロポーションが合っていない、劣化、魂柱が短いか、位置が合っていない・・
であろうと思います。

気が付く細かな点は・・・・
言いたい放題、書きたい放題で、結局、Cremonakugaも1丁のヴァイオリンが完成し、いろいろ調整をする中で、いろいろな課題を解決していかなければなりません。

4弦は、総てに影響しあって鳴っています。
1つの弦が痛み、劣化していてもEは鳴らなくなります。
そのために、劣化していない弦、正しい駒(駒も劣化します)、それに合った魂柱位置と長さ、また良い素材。正しいポジショニング。

一般的に、E線が鳴らない・・
高音弦が鳴らないという意味では、
原因・・・・その前に

ヴァイオリン弦の基本的で 大まかな考え方について Cremonakuga流のですが 書きます・・・・
大雑把に駒の中央から E側へとG側へとの弦の圧力のバランスが最初に存在します。均等という意味ではなく、高音のほうが強く低音のもうが弱い そのバランスという意味です。
そのバランスを駒の高音、低音の高さ あるいは魂柱の位置で微妙に変化させられます。
弦もE+A:G+Dのバランスを頭に置いておきます。
あるメーカーの弦のセットは 個性はあるもののバランスがとれています。
だいたいの楽器であればバランスがとれるはずです。
そこで、E線が弱い場合・・・単に強い弦に替えれば良いのですが、
G線かあるいはD線を弱い弦にしても 結果的にバランンスはEが強くなります。
E線は強い弦は太くなり、音質が変わります。
好みの弦が見つかれば良いのですが、0.26mmくらいが音質は良いと感じます。
パワーのあるウエストミンスター0.275mmはEとAの音がつながらない場合もあります。
後に書きます・・・「ハ」でも同じことを書いています・・・・

国内で実際に教授クラスのベテランソリストが使用していたストラディヴァリウスを見た限りでは
E線はピラストロゴ-ルド
A線は多分オリーヴ13 1/2?か切れにくいドミナント、シノクサ、エヴァピラッチ、オブリガードなどナイロン弦・・・
D線オリーヴリジット 多分16 1/2か ノーマル16 3/4
G線オリーヴリジット 多分15 1/2 か リジット15 3/4

DとGは太くないリジットが多いようです。

ソロや室内楽です。

また総てオブリガードやエヴァピラッチにウエストミンスター0.275の組み合わせなども

そして
E線 ピラストロゴールド
A~G ドミナント

そんな事を頭の隅に置いておいて、ご自分の楽器を思い浮かべながら考えてみてください。



①力のバランスが低音へシフトしている場合。
鳴りが弱いと言う方が正しいのだろうか???

イ、製作上の構造がそうなっている場合。
低音が鳴るようになっている場合で、高音が鳴っていないように感じる、または高音が弱い。
弦と駒、魂柱で調整します。 内部を改造すれば、E線が鳴るように出来ますが、どこかに問題が発生する可能性もあります。

ロ、駒のE線側が想定より低過ぎるか、G線側が高過ぎる場合、
   駒を交換した方が良さそうです。
適正な指板先端上からE線で3.5mm前後(3.2mm~3.8mm)
G線5mm(5.0mm~5.8m)・・・

指板は、E側を0.5mm低くするのが一般的です。その分駒もE側が0.5mm低くなります。
低いと音質はシャープでクリアーになります。力の問題で低音に加重が増え、相対的に高音が負ける可能性があります。
E側が高すぎる場合も 音質がまるくなり シャープ差が不足します。
つまり低すぎても 高すぎても 起こりうる課題です。


ハ、弦のE線のバランスが弱い(A線が弱い場合もあります)

E線(A線でも可能)強くするか、G線(D線も加)を弱くする。高音=E、D、低音=G、Dのバランスを変える。
例えば・・ドミナントの弦をセットで使っている場合、E線をドミナントからゴールドブラカット0.26に交換
同じドミナントの場合、インフェルドに全交換を、または中のA、Dをインフェルドレッドにし、GをそのままドミナントでEを ピラストロゴールドかオリーヴゴールドに、
また、エヴァピラットのセットでしたら、Eをエヴァの強い弦にしてみてはいかがでしょうか??
また、オヴリガードでしたら、少し高音へシフトしているのでそののままで!
Eを強い弦にするとEのみ音質が分かれたり、繊細さが失われる場合があります。個人的には ゴールドブラカットの0.27は音質が嫌いです。そういう場合は、Aに強い弦を張ってみるか・・・Aが強い弦のセットを使ってみるなど選択肢があります。

弦でしたら、ご自分で替えられますから
なるべくでしたら、魂柱はあまり動かさないほうが良いと思います。

ニ、駒の形が、不具合、駒の足の面が合っていない。
    駒を交換か、足面を調整する。

ホ、E線が古いか、A線が古いか、ほかの弦が古いか。
    弦交換


ヘ、ナットの溝の高さが無い。
    あまり無いですが、ナット交換


ト、内部のバスバーが、小さすぎるばあい。
  実際には、確認が難しい・・・バスバーが原因であれば、交換は大変です。
※(補足)数十年使用しバスバーが寿命にきて疲れている場合。低音はもとより鳴らなくなります。

チ、魂柱が定位置より中に立っている。素材が悪い場合も
補足・・・結果短くなった状態でもあります。
リ、魂柱が駒に近すぎる・・・それ以前に表板、裏板面にピタリと合っていない。
※補足・・・近すぎて、ジリジリ強く耳に聞こえても、音は飛びにくくなります。
ヌ、魂柱が短い
魂柱調整、交換

2016、4、28訂正
※ここ文おかしいので訂正します。
「魂柱の長さは、それを外した時、表板が弦を張っていた時より下がっていてはいけません。」

つまり そっと弦を緩めたら魂柱が倒れた!はイケマセン!」

訂正文です。
そっと緩めたら倒れるは ダメ・・・・は正しいですが、その前文を訂正!
魂柱の長さは、魂柱が無く弦の張力が無い表板状態の位置(F字孔で確認)が弦を張った時下がっていたら、パフォーマンスが悪くなり、E線の良さが失われます。
弦を張って、下がる分も考慮し、結果何もしない表板の位置より、+0.2~0.5mm上がっていて、かつ上のF字孔のウイングが下がらない状態がベストです。

同じ解説ですが・・・・・
つまり弦の圧力で表板が下がる分も考慮して、それでも弦を張って下がらないだけの長さが必要です。E線の音は がらっと変わります。魂柱の材質でも大きく変化します。
補足・・・E線側のF字孔の上の目を見てください。ウイング(羽状の)が極度に下がっていないか?また駒横の表板がラインの刻みでG線側にくらべ下がっていないか?もし下がっていたら魂柱が短くなっています=裏板が下がって箱が変形した結果表も下がり、実際は魂柱の長さはあまり変わらないが開いた結果短い状態になっています。

この状態で、新しい弦で、駒の正しい場合、弓でE線開放弦を弾き放った時、E線の音が減衰せずそのまま長く響く・・・それが目安になります。
これが一番大きな要素とも思えます。


ル、ニスが大きく剥げているか、汗で、変色し湿っている状態。
   同じ種類のニスで綺麗に修正をする。
※(補足)特にネック脇のトレブルサイド手が当たる横板及び表板のニスが剥げている場合レタッチが必要です。同じ色でなくても透明でも同じに効果が出ます。良く言えば締まらなくなった高音に張りを持たせます。それを柔らかくなったと感じた場合には、ニスで音が硬くなったと感じるのでやめたほうが良いかもしれません。


ヲ、アジャスターに問題がある。

※ペッグ、テールピース、顎当て、の品質が合っていない場合。
弦長が、ナットから駒 テールピースから駒の比率6:1になっている方が良い。
(必ずしも絶対的でもない)

デリケートな質の鳴りが悪いと感じる場合は
材質は、なるべく、良い素材に交換するほうが良いと思います。


などなど考えられる。
また、調弦が合っていない、ポジショニングが合っていない場合も、鳴らない。

一番有りそうな原因では、E線(A線も可能)強い弦に交換をするか、G,あるいはDを弱い弦に交換し、自然なバランスの具合を見る。

駒を調整するか、魂柱素材、とその長さ、位置を調整する事で解決できるはずです。
魂柱が駒に近すぎるか、遠すぎる(駒から2~3mmくらいに、近い場合は、下げる)。駒足のラインが、0とすると、0~1,2mmに位置にあると良いが、中へ立っている場合も。(手前F字孔方向外へひく)


とりあえず思いつくことを書きました。


(追記)E線の音が裏返るという事について=か?どうか?Eが鳴らない・・・運弓中に、移弦した時に、E線の開放弦で、素直にEが鳴らず、裏返る=whistlingを、同じ事を言うのかどうか???聞く事が、あります。
良く分かりませんが・・・・

自分の楽器では、つたない自分の音出しでは、経験が無いので、100%解説は、出来ませんが。
つまり、軽く、弾きたい時、重音など他の弦からEになった時など・・問題が発生するのではと思いますが・・・。

まず、思うには、単純、弦の振動が、少しの力で起きにく、反応が悪い・・と言う事だと思います。
そういう場合に限って、E線をカスル・・・なでる・・・という感じで意外と圧力がかかっていない場合が多いように感じますが、
演奏家のヴァイオリンでは、少し音が返ると・・・それを解消したいと・・・・経験がありますが、その時は駒の足がわずかに密着していなかったのです。その意味は、駒から振動が表板に伝わりにくくなっていたと言う事です。

良くある事は・・・
①弓の当たり方・・・G,Dあるいは、D,Aで重音しEに移ると良く起きることは・・・・毛の面が、弦に当たる時、G,D、Aまで毛の平面の角で当たっていた=弓を寝かせて毛の角が当たるように・・・なっていた弓=大方弓の元からスタートする・・・がE線で、弓の角度が弦に毛の角で当たらず、面で当たる時=丁度弓の中あたりにさしかかる・・・、あたりは、厚が落ちやすく、そこで発生します。
ボーイングの弓の寝かせ方を意識して、E線でも寝かせ、角=1点で当てるようにすると起きにくい。
弓の毛は元で当たる時はしっかりしているので、角=1点で当たるが、弓の中央では、毛は柔軟性があり(弱厚が弱く)、しっかり張っていないと、どうしても面で弾いてしまう。
一番鳴り易い弦のポイントあたりを、急に面で当てると、音がちゃんと出ない事になります。この時は、ボーイングの姿勢を正確にし、弓の毛をあまり緩めない事で、解決できる場合もあると思う。

それ以外では・・・・
②ヴァイオリン自体が、作りが硬い
③魂柱が、駒から近過ぎるか、長いか、短すぎるか。適正な場所に立っていないか、足の面が密着せず空間がある。傾いている。
④松脂が、固まって付着し、正しい振動を妨げている。
④弦にループが付いていて、駒から大きくはみ出している。
⑥E線が捻じれてセットされている。
⑦E線が劣化しているか、それ以外のどれかの弦が劣化している。

⑧E線が太いか、重いか(金巻き(本当の金かは別で)は、重さが増すと思う)、駒、魂柱、楽器が一体化していないか、合っていない。
駒が、良くないと振動の伝達が悪くなりレスポンスも悪くなります。裏返り関係ないとは思いますが、特に駒の先端に黒檀などは、音が悪くなります。象牙は試したことは、有りませんが、皮を貼るのが、最低限のベストと思います。
皮は、厚過ぎても良くないし、薄すぎても、食い込みます。(私の場合ですが、駒皮は、0.16mmの厚さの皮を少し削り、0.135mm~0.14mmくらいにしています。0.12mmでは、少し耐久性が良くない気がします。0.16mmそのままでも問題は無いと思います。)接着は、膠で行っています。瞬間接着材でも問題無いと思います=なぜなら、固まっても、音の伝達を妨げる硬さにならないためです、ただし、せっかく皮を薄くしても接着剤が厚さを作っては意味がありませんし、確実に音の伝達を阻害します。

⑨E線と、ほかの弦の相性が悪い
⑩弓の性能が、楽器のイレギュラー状態をカバー出来ない。また、弓の性能を楽器が超えている場合も有るかも知れません(楽器の性能に弓の性能が追いつかないなども有るかも??)
⑪演奏技術も、あるかも知れませんが、①~⑨のどれかか?複合的な結果ではと思います。その結果、演奏技術でもカバーできる人も居るかもしれませんが、出やすい人もいるのではと思います。

また、駒が低く、指板の角度も少なく、ナットの溝が低く、指板との間も狭く、指で押さえた時、弦に圧力が、かからずテンションが低くなっている楽器も・・・結果として、弦が太いのと、重いのと同じ意味合いになるのではと思います。
魂柱が強く立ててある楽器は、性能の高い弓でないと、Eの音は返り易くなると感覚的に感じます。

時間が有る時に、少し研究してみたいと思います。
参考になるのか?はたまた余り参考にはならないのか?
少しは、ヒントになれば良いのですが!

※日頃から、弦が鳴り易くする動きを・・・・弓の元から1/4くらいを使い、駒の近くを、少しづつ圧をかけ、しっかり鳴らす・・・を各弦ごとにします。単元、重音をします。普通の演奏では、決してしないくらい強く弾きます。
周りからは、雑音でしかない音なので、迷惑ですが・・・・
私は、新作出来上がったヴァイオリンは、これをして、ヴァイオリンを起こしてあげ、全体がまんべんなく振動しやすくします。E線も、少しの弓でも鳴るようにするの効果は有ると思います。
いうなればヴァイオリンのウォーミングアップの一環として、少しだけすると良いかも知れません。
ただし、楽器によっては必要ないものも有るので、音に良くないように感じた時は、直ぐにやめてください。
新しいヴァイオリンのE線が鳴りにくい時、E線の駒近くをガリガリ弾きます。

話は、反れますが、友人の製作者は、鳴り易くするために、振動版を駒に付け、音楽を聞かせ楽器を自動的に振動させるなどしています。

またアイデアがありましたら・・・・書きます

※12.17
友人から聞いた話しでは・・・かつて、ストラディヴァリウスを使う有名な演奏家のコンサートで、E線の音が出ないミスショットが5回有ったと・・・不思議に思った!との事・・これも同じ事かも知れない????

この事は、音が裏返るのではなく、出なかったようです。
こうなると、難しい世界!

しかし、自分が試すと、意識していなくても、かすかにE線に、指が触れている場合、出ない。
低音から高音への重音移動で、円弧を描くようになめらかな動きをすると、E線の音が出にくい。
低音から高音へ、2段階で、段階ごとに真っ直ぐなボーイングをなめらかにつなぐと、音がちゃんと出る様です。

私がチェックするとしたら・・・・
その前にEの音質を聞く・・・
音量がどうか?
音質はどうか?
音の太さはどうか?
①駒の形を確認(高音低音の高さはどうか?
E線の乗る部分がどうなっているか?
駒はちゃんと立っているか?
駒の厚さが薄すぎないか?
駒の削り方はどうか?
本体と駒の厚さの組み合わせは合っているか?

②弦は傷んでいないか?
弦のバランスは正しいか?
指板からの弦の高さ確認

③ジグで魂柱の位置確認

④F字孔の左右の開き具合を見る、
E側が下がっていないか?
魂柱が短くないか?
・・・などなどで判断し検討対処するでしょう!


補足・・・そしてE線の音が細い、抜けが悪い・・・
全体に音が細い・・・
魂柱の素材を変えて立て直した方が良い場合。
魂柱についての事でも書いていますが、
断面の年輪が細く、少ない場合は、か弱い音質になります。
細くても多い場合は、12本くらいの場合、中低音はふくらみのある、艶っぽさなどが再現されやすいのですが、E線は、繊細な音になります(良い意味でも)
断面に5~7本くらいの年輪が、濃く太い場合、全体に音質がクリアーになりE線の抜けも良くなります。E線の音も太さを増します。高音が特に良くなります。
最善の魂柱は、なかなか無いのです。私などは、ヴァイオリン用の表板を1枚ダメにしても、見つけた時は確保します。最低10年~20年30年くらいのが有ると、嬉しい限りです。
by cremonakuga | 2014-12-10 23:24 | ♪♪ Vnの音と付属品 | Trackback | Comments(0)
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