ヴァイオリン製作・・・ニス塗りの難しさ

久我ヴァイオリン工房

新作ヴァイオリン
La primaveraは完成したが、いや今音を作っています。

どういう事か

見た目は確かに完成しています。音もちゃんと出ますが・・・

ニス塗りについて・・・・
ヴァイオリンのニスは主に、
アルコールとオイルが有ります。
ヴァイオリンのニス塗リ、アルコールニスの場合・・・数十回塗ります。
それに対してオイルニスは、数回で済ませます。
アルコールニスは、薄い皮膜を重ねるため、それだけ塗っても良いのですが、オイルニスは、一回が厚くなるため、数回で済ませないと、音に良くありません。
私のようにオイルニスで、薄い皮膜でも、数回にしないと音量・音質が落ちます。

回数が多いと、各部の皮膜の厚さが平均に近くなります。
縦、横、斜めなど、逆さなどなるべく均一になるように塗ります。
数回のオイルの場合、返し刷毛しながら、塗ると、比較的均一に塗れますが、一方方向に塗ると、どうしても最初が濃くなります。逆さに塗ったりすると、真ん中が薄く成ります。刷毛をニスに浸しなをし塗ると(息継ぎのように)なるべく均等になるように意識して塗ってはいますが・・・
そうしますと、どうしても不均衡になります。

完全に乾いたら、各部をタップしながら、、マイクロメッシュなどで、磨きながら、ニスが厚い部分を探し、修正していきます。そうすることで、本来の白木の状態の音響に近づきます。

修正が終わると、箱をタップしたとき、修正前と、大きく変化します。
修正まえに、裏をタップし、良く響きましたが、修正後は、ボンッ!っと短く響きます。
名器の場合の記憶では、優しかったり、重かったり、鈍かったり、しかし共通した記憶は、極端に敏感に、瞬時に響きます。弾き込みでもそうなりますから、もともと同調する箱が、弾き込みで、さらに同調性が増した結果の反応だと解釈しています。
まだまだ、満足した状態ではありませんが、大分良くなりました。


左右、表裏が、反応が良くなり同調するような感触の音になります。

ニス塗りは、ただ美しいため、保護のためだけでなく、音響に大きく影響します。アンティークに見せる塗り方は、本来の音を、大なり小なり損ないます。良い音で響いていたとしても、多分もっと良い音が存在している可能性があります。アンティークで、それを解消するには、色を柔らかいニスにするか?色素のみ定着させ、ニスでサンドイッチするなどすると解消できます。色の部分をニスの濃さで塗り重ねると、大きく音を変化させます。

そんなチェックをしながら、最終調整をしています!

※特に実際に存在する名器の厚さを実測し、製作する場合、何を考えるのか?と言いますと、私の場合ですが、最初に厚さが事実として有ります。
①実際の厚さ
②木材の年輪の状態
③ニスがどういう状態で塗られているか

①と②で、名工の意図を推理します。本来の音を作るデータです。
③は経年による音の味つけになります。

それにより、どういう音を作ろうとしたかを考えます。・・・と同時に同年代の作品の厚さも一緒に考慮します。
加えて似ている厚さ配分、似ている木材を使った作品も一緒に考えます。
つまり①と②で、もし似た音色の傾向の新作が出来た時、
③が変化を付けています。
・・・つまり①②でできた楽器が、一番本来の音に近いと考えます。
③は、経年でニスが剥げたり、ムラになったか?後で意図的に修理レタッチ修正されたか?でしょう???

時間を掛けて見られれば、なんとなく分かるような気がします!Penso de aver capito=分かるような気がする・・・あくまで!
つまり、ニスを実際の名器のようにムラに塗る時、本来の音を大きく変えるか?それとももっと強調するような効果が得られているか?    
問題ないか?音量を減らすことになっているか?も考えなくてはなりません。
色素に樹脂を混ぜますが、通常にニスと同じ配分の樹脂を混ぜると、当然ニスは回数が必要になり、厚くなります。
私の場合には、色素に樹脂を少し混ぜ、指でたたくように、濃く付着させ乾かし、透明でコートします。そうして回数を減らします。その工程では、よく乾かします。次に塗る透明は、必要であれば、その箇所を除いて塗り、トータルで同じに近くし、次に全体を塗り磨きます。そうすると、濃い色のニスの部分が少し影響し、音響的に平均化され、実際の名器により近い可能性が出てきます。
その検証は、白木の音を聞いていないと、分からないので、白木の音を聞いていたほうが客観的な判断、結果が得られます。
もし、白木の方が良ければ、濃いニスの部分を、より考慮しなくてはなりません。
一方で、濃いニスの方が本物に近い場合、かなり悩むところですが、本物の経年の音に近い方を採用します。

必ずしもニスをムラに塗る事は音に悪いのではなく、その楽器の意図に合っているか?どうか?結果で良し悪しが決まります。
見た目も重要です。
それらを天秤にかけながら、作業します。
だからと言って、結果が良いとも限らないのが難しヴァイオリン製作です。
by cremonakuga | 2014-11-10 23:25 | ☆ヴァイオリン製作日記 | Trackback | Comments(0)
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