ヴァイオリン駒を調整する・・ご自分で No2 (※訂正2021,05、09)

ヴァイオリン駒を調整する・・・ご自分でNo2



久我ヴァイオリン工房

Caffe o Te? ブログの検索のトップは・・・・

”ヴァイオリン駒を調整する・・・ご自分で”
・・・が、毎日人気トップになっています。

追加したい事項があっても、文字数が満杯でできず、
そこでNo2を追記します。

以前も述べましたが、オールドヴァイオリンにありがちな特徴と問題点を

G線が鳴らない・・・・G線がクリアーでない・・・

強く鳴らない・・・・

駒足の接地面の表板が、凹んでいるオールドヴァイオリンが良くあります。
つまり、低音側の足が沈んでいるヴァイオリン・・・
・・・足が沈んでいるだけなので、Topの高さ、形状は、指板に合わせ、
弦高が、適正に決まりますから、演奏には問題がありません。
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駒足が凹んだヴァイオリンは、特に低音側は、直下にバスバーが走る。
駒端から1mm内側に幅6mm前後のバスバーが・・・・

大体、バスバーの内側方向へ 表板が凹む・・
1mm以上凹むものも見かける。

どういう事が起こるか???
駒の低音側の高さが見かけ上高くなる(実際は凹んでいるので、高くはなく、その分質量と足までの距離が増え、音が丸くなる、テンションも同じです)
見かけの高さが増えるだけです。

まず、駒は、適正な高音低音の高さのバランスがあり、どちらかが高すぎたり低すぎたりし、
許容範囲を超えると、音に良くないことは誰にでもわかります。


このような事は、ご自分で解決は出来ないので、仕方がないですが、理由を知ることは、大切です。

直してもらうにも、大変な事になりますが・・・・・

①その方法・・・駒の形、内部の削り方で、改善させる方法。


②その方法・・・・
指板のG側、E側の高さを、G側を低くします。
通常E側を0.5mm低くします(私は致しませんが)
それをG側を低くします。

つまり、駒を正しいプロポーションで立てられる環境を作ります。
その結果、低音の張力が不足するので、G線に強い弦を張り、
全体のバランスをと整える。

結果、駒の悪影響が少なく、音質が向上し、Gは、丸みが減り、クリアー差が増えます。

デメリット・・・弓の角度が変わるので、人により弾きにくく感じることもあります。


③その方法・・・
表板を剥がし、バスバーを外し、表板のアーチを直し、欠損を直し、
完全に直す方法。
これは大変で、石膏で型とり、正しい面を削り、それに沿うように
時間をかけて元に戻す・・・
とんでもない費用と時間を要します。
つまり、買う前に、こういう楽器を知っておく事も大切です。
・・・駒の形を見て、低音側が極端に高い駒は足元も良く見ることが大切です。
低音が鳴らない楽器は,
G線に強いテンションの弦を 張っている場合が多いようです。
それでも、弱い弦で良く鳴り、音質も問題なけでば、それはそれで問題は無いかもしれません。

新作のオールド風のヴァイオリンで、最初から、表板の中央をへこませてあったり、駒の足の部分をへこませてある、ヴァイオリンを見かけますが、私は、そこは、忠実に真似をするのは、いかがかなあ?と思います。
劣化をわざわざ真似るのは、音の劣化も真似ることになるかも知れません???

デメリット・・・音質が良くも悪くも大きく変化します。健康な音になることは確かでも
味わいがなくなるかもしれません。

特に、バスバーの材質、形状でも、人により音質は変化します。
大きなリスクが伴います。


何れにしても、大なり小なり、修理調整が必要になり、心配ですね!
しかし、原因の一因を知っていれば、対処法もあります♪

※ストラディヴァリウスのセッティングを、ご紹介します。

現在のストラドは、それぞれ違いはあるものの・・
大体決まっています。

駒の高さ・・・~33.5mmくらいまで
指板の延長線の駒への位置(プロジェクション)・・・27mm)(26mm~27mm)
指板の黒檀のネック脇での表板の端とパーフリングの間の一番高い山からの高さ、
・・・・6.0mm前後

指板の駒より先端上部の表板からの高さ・・・~19mm

1715年前後のストラドのデータより



上手なイラストです!
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駒を作る時の、調整の仕方 失敗せず当たり外れがなく、まあまあ良い駒を作る方法・・・・
①楽器に駒を合わせる・・・現行の駒が適切か確認する。
楽器のF字孔バスサイドの刻み=駒の中心あたりから、駒足内部のバスバーまでの距離を測る。
名刺などに印を付け差し込み計る。
その数値が現行の駒の足端から1mmであれば、現行の駒のサイズで良い。
バスバーが駒の足の端から1mm(~1.5mm)直下にあるか?を確認します。もし端と丁度でしたら、下現行の駒より2mm幅が大きな駒にします。
もし、端から2mm入っていたら、2mm幅が狭い駒にします。 微妙でしたら、既製の大き目の駒を削ります。

②既製の駒を大雑把に大きめにカットします。現行の駒を当て、上部をそれより2mm大きく、の足の厚さを4.7mmに、通常カンナや、ナイフ、ノ平ノミで行いますが、280番くらいのペーパーに当てても出来ます。
その際、内側のハートば欠けることを避けるため、ハート部を良く切れるナイフでほんの少し薄くします。
280番は、よゆっくりします。上部は、最初4mmくらいに全面、背面を平らにします。次に、ヴァオリンの駒上にペーパーを載せ、駒の足を正確に、背面が直角になるよう・・その位置を前後に平行移動し、すり合わせ、面を合わせます、その時ペーパーの裏面に砂が付かないようにキズが付かないように・・・大体合ったら、ペーパーを外し、後は、足面を良く切れる、平ノミ、あるいはナイフで、少しずつ丁寧に当たる部分を削りながら隙間なく合わせます。
もう一つの方法は、ペーパーを使わず、面に駒を当て、小さな鉛筆を曲面に当て、駒面にヴァイオリンのカーブを前、後ともトレースします。それに沿って削りながら面に隙間なく合わせます。
これが一番面倒で、神経を使います。

面有ったら、高さを、1mm高く余裕に上部を修正します。下部の厚さを4.5mmに、上部を3mmに、

ぺーパーを次に400番、800番と細かいペーパーで、面を仕上げます。最後は1500番以上で仕上げます。
ヴァイオリンの裏板の下部中心をつめにタップし、駒の下部のタップと比較し、まだ駒が音程が高い事を確認します。
駒の上部タップ音と表板下部テールピース脇から下をツメでタップし、駒の方が高い事を確認します。
そこから、駒首幅を、どちらも4.3mmにします。絶えず楽器ボディーとの音程を確認しながら行います。
背面をなだらかなアールになるようにします。差は、上下1mmくらい。足からハートの下までで0.5mmくらい、ハート下から尖端へ0.5mmくらいの差で
上から見て、先端の3mmのラインが直線になるように、背面の中心から両先へ修正します

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駒の端先は、裏は直線に、表面は方法①直線 方法②足上膝上の1辺まで直線。
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駒の形状の作り方で音量、音質が全然違います。駒を作りセットする人の好み=音感に左右されます。
その人が良いと思う方に向きます。
低音が好きな人、太い音が好きな人は、厚めになります。高音など全体に繊細にシャープに際立たせたい人は、薄めになります。偏見かも知れませんが・・・

駒は、適切なサイズ、形に仕上げながら、全体にはトップは、両端を爪でタップし同じにします。
高い音程の場所は、その下の腹を削り、弦の場所も同じようにし、全体を整えます。
ただし、楽器の特性により、必ずしも合わせる必要はなく、高音、低音を好みにしながら決めます。
その時下部の中央や、足を持ち行う。
下部は、両足をタップし、整える。中央下部は、裏を意識しながら削ります。
駒のウエストは、楽器により違いましが、なにもせず16mm~17mmが良い場合のあり、また15mmを切ったほうが良い場合もあります。
ハートとループの間隔も5mm~6mmで、それ以下が良い場合もあり、ケースバイケースです。
そうした作業をしながら、裏板と表板に合わせながらフィニッシュします。
ピタリと合わせる一歩手前で終わるのが良いと思います。
本当に楽器に合った、良い音を求める時、何枚かの駒を試す必要がでるでしょう・・・一回でOkとは、なかなかならないでしょう。
私もそうだからです。

普通の楽器であれば、最終的に
駒トップで1.38mm(1.4mmは切る厚さ)
※1.2mmが基準とも言われています。1.2mmもOKです。
駒足厚さ4.3mm(4.0mm~4.5mm)
駒足首幅 例バスを鳴らしたい場合は・・
Tre:Bass
4.2mm:4.0mm
4.0mm:3.8mm
3.8mm:3.6mm
逆に高音に変化を付けたい場合
楽器によっては、
Tre:Bass
4mm:4.2mm
3.8mm:4.0mm
3.5mm:3.8mm

もちろんどちらも
3.5mm(一般的な基準)~4.2mmでも良いので
3.5mmはデリケートな音質~4.5mmは荒っぽく生な音に近くなります。

一度、どれだけ違うか試すと良く理解できると思います。
魂柱同様、駒で楽器がまったく変わってしまいます。


下部中央は、4.1mm(4.0mm前後)
中央ハート下3.6mm前後
ハート上 2.5mm前後(2.1mm~2.6mm)

の範囲になるでしょう。
この場合は、振動数で質量を量ります。
厚いと音程は高くなり、薄いと低くなります。
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表面
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あるストラディヴァリウスにセットされていた駒は(アメリカの今は亡き著名な製作者の仕事でした)・・・・・
この厚さではA線の音がビビリ易くなるので駒皮を貼る必要性がある。この駒にもEとAに駒皮が貼られてあった。
a 1.33
b 2.33
c 3.61
e 4.05
f 4.38

A 4.13
B 4.05
※C 未計測? ※2021、05、09訂正、部位番号4を誤って4mmと記載ミリしました。すみません!5.6mm前後が妥当
※D 未計測?  ※2021、05、09訂正、部位番号5を謝って5mmと記載しましたすみません!  5.6mm前後が妥当
E 15.1

弦の間隔は34.6であった。
同じストラディヴァリでも当然個々で異なります。
またほかの有名なストラディヴァリでは、駒足の厚さは4mmでした。


※2017年現在の駒は、

ウエスト15、5mm~16.3mm
ハートからループまでの幅、5.5mmくらいで、5.0mmは切らないようにしています。(5mm切っても良い場合もあります)
Top厚さ1.35mm前後、中心最下部、4.0mm~4.1mmくらい
足厚さ、4.3mmくらい、足首、4.0mm~4.2mm(場合によっては3.8mm)
ウエスト15.5mmと16.3mmでは、15.5mmは音質が和らぐ気がします。
16.3mmははっきりしたここと良い音のような気がします。





中のループをどう削るか、ウエストを細くするか?どうするか?質量が減ると、確かに音質はクリアー度を増します、薄いと、音質がシャープになります、しかし弦の圧力に負けると、駒が反ったり、反らなくても、圧力に負け、振動を元気に伝えられず、鳴らなくなり、悪い音になります。駒も、弦の圧力に負けない事が、第一の条件になります。駒で音を良くしようとするより、楽器を良く作る事が大切で、駒はプラスアルファーです。

裏面
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結局 ご自分で行うのは、楽器にキズを付けるなどのリスクもあります。必ずしも良い結果になるとも限りません・・・こんなことも有ると知っていて損はないので、程度にしておいた方が良いのではと思います。
ご参考になればと思います。


追記・・・・
駒の両サイドの角を、落とします。ナイフかヤスリでしますが、大きく落としますと、音質が滑らかになります。
ジーというような音が減ります。私は、そのほうが好きなので、あまり落としません。お好みです。
駒のトップも角を残スト、ジーっという音質が強くなります。丸くすると滑らかになると思います。
シャープな音質が得たいなら、角を残し、角の直下を膨らませないで余分を省くと音質がシャープになります。
暖かい滑らかな音質では、サイドの角を大きく落としトップは丸くすると良いと思います。
ハートとループを間隔を狭くすると、音質がクリアーになりシビレますが、離れて聞くと、どうか?確認が必要です。意外と丸くなってしまうこともあります。一般的には5mm~6mmですが、5mmを切ることも可能です。
ループとループの間は、15.5mm前後ですが、楽器によって大きく異なります。15mmを切るくらいが良い場合もあれば、17mmが良い場合もあり、楽器に合わせる必要があります。
足首の幅は3.5mmと良く言われますが、5mmくらいから少しずつ削ると、音質が複雑で緻密で繊細な音質に、芯が出る様になってきます。この音も耳で聞く音質と、離れて聞く音質が違いますので、一度試してみると良いと思います。意外と離れるとその良さは聞こえない場合もあります。私の場合は、最近はE側で4.2mmG側で4.0mmにしています。ウエストの幅は、15mmを切る場合や、17.5mmの場合など総て異なります。そのため、一丁のヴァイオリンで完成までに少なくとも3個くらい作り替えます。


駒のTopの厚さは、音質に極めて大きく関係します。好みと言ってしまえば それまでの事ですが、駒の先端の厚さは、1.7mmくらい厚いと、弦が乗る部分が大きく、調弦で弦がスムーズに動き易く、駒が前に傾きにくく、反りにくく寿命も長く、長持ちします。楽器にも依りますが、音質を犠牲にしているかもしれません。
1.2mmとか1.35mmでは、調弦で駒も前に持っていかれて傾く可能性が高くなり、小まめに直す必要があります。本来駒は、丈夫で長持ちではなく、良い音を出すために最善にしたい、寿命がきたら新しい駒に交換するのが良いと思います。

ヴァイオリンでTOPの厚さが1.7mmくらいになっている駒をたびたび見ます。古い材質の駒の場合、確かに音質や、反応が良いのですが、そういう材質で1.7mmとかで、全体に厚めに作られていると、確かに長持ちしますが、やはり高音、低音の繊細さが失われる感があります。そういう厚さでは背面を垂直、平面に出来ます。その点は音質に良いのですが、全体の質量が多過ぎてやはり本来の音質に影響します。背面を少しラウンドさせ反りにくくしてもTopの厚さは、1.4mm以内の収めたほうが良いと思います。どんな駒でも下部の厚さは5mmでは厚く、4.2~4.5mm以内に収まりそうで、中央下部は、4mm~4.3mm以内になりそうです。
その範囲で、大方のヴァイオリンと調子は合わせられるようです。

アマチュアでもプロでも関係なく、音重視で駒は、シビアーに考えてほしいと思います。

しかし、結局最終的には好みになります。
自分が気持ち良いか? どういう音にしたいのか? 聴く人が気持ち良いか? その点と楽器との関係から
どうするか?許容範囲の中から決まります。職人であれば 駒を加工する人の感性 音感によってしまいます。






※前の追加資料 

ヴァイオリン駒を自分で調整する No1



 ヴァイオリン駒の高さ 弦高を自分でチェック


Cremonakuga violino HPヘ
by cremonakuga | 2014-08-12 20:52 | ♪♪ Vnの音と付属品 | Trackback | Comments(0)
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