久我ヴァイオリン工房
※2019年2月、乾燥が続く季節、室温、湿度に注意が必要です・・・保湿ダンピットなど・・最後に追記。 この夏の暑い時期、ヴァイオリンをどう保存したら良いか? 困る方も多いのではないでしょうか??? 私のように、たえず工房に在中する場合は、ヴァイオリンと一緒に寝食をともにしているようなもので、 ヴァイオリンも、快適な生活を維持できますが、 普通は、なかなかそうないきません。 では、いったいどうしたら良いか? まず、季節での、いろいろな危険、アクシデントを想定します。 ①梅雨、夏の高温・多湿で、ニスにケースや、布の跡が付きやすい、30°~50°以上で、ニカワが剥がれる危険、ネックが下がりやすい 湿度の梅雨時の状態では・・危険です。 新しい楽器、製作1年以内なら暑さで、ニスが柔らかくなり、ケースの跡が付きやすい また、ネックが落ち着かず下がる可能性が高い時期です。 ②冬の乾燥時期、暖房などで、異常に乾燥すると、板が割れる危険もあります。 温かい部屋から、冷たい窓辺に移動したり、反対も、急激な温度、湿度は、同じようなリスクがあります。 また、ニスが割れたり、皺が寄ったりします。 そもそも、発祥の国々では、、湿気は少ない、石作りの家は、日本のように高温になりにくい気がします。( クレモナの冬は、近くのポー川のせいか深い霧が発生し、特に1Fは湿気でカビは発生します。) まあ、そんなことを言ってもしようがないのですが・・・・・・ 部屋で保管するときは、勿論、直射日光など当たらない、一番温度が上がらない場所、風通しが良い場所としか言いようがありませんが、 この時期は特に、弦を、総て、半音~1音以上緩めておくのも手です。 時々、こまめにケースを開け、空気を入れ替えるのも・・・・ とんでも無く過酷な環境であれば、また、新しい楽器であれば、最初のシーズンは、針金ハンガーを曲げて、ヴァイオリンのネックにかけ、涼しい場所壁に、つるしておくのも有り、ヴァイオリン工房のように、鴨居のあたりにワイヤー張って吊るとか・・・無理でしょうそれは! しかし、何かの拍子にぶつけたり、落としたりしないようにしっかりさせないといけない。ヴァイオリン展示用のスタンドに立てておくのも良いかもしれません。やはり、ひっかけたり、ぶつけたり 不慮の災難がおきないようにしたいものです。 美術品のように、桐箱を作り入れておくのも日本古来の知恵で良いかも知れない。桐箱は、温度、湿気の変化を少なく防ぐそうです。しかし、何億円もするのであれば、それも有りですが、それより専用エアコンで対応したほうが良さそうですね!最近のエアコンはつけっぱなしでも電力がかかりません。エアコンは点けた最初に高電力がかかります。ランニングはあまりかかりません。 もし、私がヴァイオリンだったら人間同等扱いを望みます・・・・ いろいろ保存温度、湿度を調べると、 美術品であれば、18°C~20°C、50~60%くらい。 油絵・・50%~55% 木・・・50%~65% 木像・・・20°C前後、 50%~65% 家具、彫刻・・・20°C前後、45%~65% ワニス(ニス)、糊がついたラベル・・・16~25°C、50~65% 象嵌、寄木細工・・16~25°C、55%~65% ヨーロッパの有名な楽器商は、50~55%くらいだそうです。 ヴァイオリンは木で出来ていて、象嵌細工が施され、ニカワで、接着され、ワニスが塗られている。ラベルは、羊皮紙、紙など・・ そう考えると、温度20度、湿度、50%~60%がベストですが、一定に保つ・・それも無理でしょう・・・・と思います。 追記・・ヴィオリンケース内に付く湿度計の目盛りは40%~60%がノーマル範囲とあるようです。 やはり50%前後が目安のようです。 保湿ダンピットは40%くらいからとなっています。20%はクラック危険域になります。 家で暮らすには、室温25° 湿度40%くらいが快適ですが!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ※結論・・・ 長期保存は60%手前くらいにし、日常保存は、60%を超えず、50%を切らないようにしたい。(40%を切ると割れが発生する危険がある) ※楽器は、アベーテロッソ(唐松)が表板に使われますが、ネックの楓材や、サドルの黒檀材の収縮率の違いから、少し隙間を開け製作しますが、表板が収縮しても楓、黒檀が縮まず裂ける など可能性があります。 個人的には演奏空間は40%~45% くらいが好きですが。 ちなみにサントリーホールは、23.5度で55%らしい!? ケースは、厚いケースの方が、熱を通しにくいですが、ファイバーのようなケースは温まり易そうなので、外出時は、外を10分以上太陽に当たる状態は避けたいものです。 コンビニ、デパート、本屋さん、木陰、・・・地下鉄、日陰を渡り歩き目的地へ移動したいものです。 間違っても窓辺や、車に置きっぱなしは、完全にアウトです。 50°C以上になるので、ヴァイオリンが、ベタベタ、バラバラになるので、要注意です。室温30°もNG! 私の作る楽器のニスは、紫外線乾燥器内で、30°では、なかなか乾かず、25度くらいまで!つまり柔らかいニスは温度が上がると、かなり柔らかくなります。完全に乾いたニスでも体温36度の手で15分も持っていると指紋が付きます。硬めのアルコールニスでは考えられません。涼しい場所に!また高価なヴァイオリンは猛暑環境ではエアコンしたほうが良いです。最近のエアコンはつけっぱなしの方が効率的です。点けた時電力がかかります。ヴァイオリンの金額から考えたら 電気代はお安いものです。 寒暖の差が大きい窓辺では、ニスに大きな亀裂が発生する可能性があります。自然の細かい亀裂は歴史の印で美しいものですが・・・寒暖の差でできるキレツはおうおうにして大きなキレツで美しくないのです。 ヴァイオリンは、我が子であり、大切に扱うしかありません! 頭の痛い季節ですね! ※ヴァイオリンケースを選ぶとき、ネックの木部で支え、エンドの端の先端が留まるようになっていて、ヴァイオリンの裏面がかすかに当たらないのが、ニスには良いです。ニスの跡が付く恐れがあるヴァイオリンには向きます。 通常底面のエンドの3cm~5cmくらいソフトなクッションで盛り上がっていてそこへのせるものが有りますが、底のクションでニスの跡が付きます。ヴァイオリンの保護のためには良いのですが、・・・・跡が付かない硬いニスのヴァイオリンには向きます。 オイルニスの高価なヴァイオリンは7月後半から9月初旬まで、ヴァイオリンも夏休みにするのが一番良いと思います。暑い期間はアルコールニスの丈夫なヴァイオリンを練習用に使うのが良いのでは・・・ ヴァイオリンケースは、ギチギチの窮屈なケースは、横板にもケースの跡が付く危険があります。エンド側に受けが付いているケースはクッションになり楽器を保護しますが、やはり跡が付きます。保存時には写真の様に厚紙を二つ折りしエンドピンに刺しヴァイオリンの底が直接ケースにつかぬようにしています。ヴァイオリンの肩にあてのクッションがある物では、ネックの当てを高くし肩が直接接触しないように工夫しました。しかし運搬時、大ききな衝撃には、クッションが当たっていた方が良いので、保管時には、楽器ケースの跡対策として こんな防衛をしています。ダブルケースの一丁分のスペースでは肩の当てを取ってしまいました。しかし、余り上に浮くようにしますとケースの蓋に圧迫・押されるようでは 別なリスクが増しますので、尊重さが必要です。 ケースー跡対策 厚紙。 大気の乾燥と木材の乾燥は、木材の乾燥の方が長引き変化が少ない。そのため、雨が久しぶりに降っても、木材の乾燥はたやすく水分を含まない。そのため、乾燥しきっている状態では簡単に燃え火災が多い。家具も割れたり、接着剤が剥がれたり多い様です。 楽器は比較的、水分の吸収排出が速く対応力がありますが、木材は収縮はします。 木材の収縮差で、サドルの黒檀の両サイドから割れたり、ネック、廻り、F字孔廻り・・・ 乾燥で膠剥がれなどなど置き易い。 ニスが厚い楽器では、ニスに収縮、割れも起き易い。 当然むき出しで窓辺が厳禁です。 Cremonakuga violino 久我ヴァイオリン工房HPへ
by cremonakuga
| 2013-08-01 20:43
|
Trackback
|
Comments(2)
Commented
by
Rumi
at 2015-07-22 22:53
x
マンドリン(自分)、ギター(つれあい)、バイオリン(姪)、ビオラ(姉)など、色々な楽器に囲まれているので、このような知識を分けていただけて感激です。姪が梅雨の時期の楽器保管について悩んでいたのでウェブサイトをシェアさせていただきました。
ありがとうございます。
0
Commented
by
cremonakuga at 2015-07-23 01:06
こんにちは!あまりお役に立てませんが・・・ヒントになれば幸いです♪
|
久我ヴァイオリン工房HP ↓
カテゴリ
全体 ★久我ヴァイオリンとは・・・ ★Profilo ★製作の取り組み ☆ヴァイオリン製作日記 ◎ヴァイオリン作品の一例 ◎ヴィオラ作品の一例 ♪♪音の謎♪♪♯♭ ◆クレモナニスの美 ◆演奏家の感想 ◆ヴァオリンの各部名称ほか ◆木材は? ◆ヴァイオリンが出来るまで ヴァイオリンの弾き方 ♪♪ Vnの音と付属品 ◆le forme ◆ストラディヴァリとグァルネリ ◆クレモナ、思い出の住居 ◆Allievaコーナー ◆ヴァイオリン・コンサート ◆食物・飲み物 ◆ 健康に!食物・飲み物 ◆旅行とヴァイオリン ◆ギャラリーNo1 ◆ギャラリーNo2 ◆ヴァイオリン工房散歩道 ◆作品について ◆友人小出さんをしのぶ 音楽コンクール他 ◆・・・Link・・・ 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 02月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 06月 2005年 05月 2004年 09月 フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||