当ブログでも、たびたび取り上げています。 (私が手にしているのはストラディヴァリウス 1709 ) 艶については、ヴァイオリンの表面がマットか、ピカピカでも、違い、ピカピカにした時に感じます。 マットな状態で音を出し、そのまま表面を磨き上げながら音を出すと、その変化がはっきりと分かります。 また、表面を布などで磨くことで、熱を持ち、表面が少し硬くなり、それも影響します。 表面が、ピカピカで、ある程度硬い場合も艶の要素になります。 それらは、恒久的な音ではありません。 私のニスの特有の性質かも知れませんが、名器などデリケートさは、同じだと認識します。 アルコールニスや現代のオイルニスでは、安定していて変化しないかも知れません。 自分の楽器に関してでは、出来立てでニスを磨き上げ、音を出し、次に楽器の表面を手で撫でて、体温で馴染ませてから、また音を出すと、急に音が大きく出だす。古い楽器ではあまり そうならないから、新しいニスは、変化が大きいのだろう!?と推測します。 美しい音質・・・ また、楽器のある特定の場所の音程がピタリと合わせると、艶が表現されます。 もうひとつ、ヴァイオリンの特定の場所の厚さの変化で、艶が表現できます。 同じように作った別なヴァイオリンで、同じ事をしても同じにならない・・・不思議です。別な楽器は、また別な場所で感じます。 摩訶不思議な世界です。 表面がピカピカや、硬さは、経年で失われます。ニスが剥がれて落ちると、それらは、大きく変化します。しかし、厚さ配分での艶は、楽器の個性として生き続けます。 しかし、ストラドやデルジェズは、木材自体に液体で強化してあるため、ニスが取れても、普通の塗られていない楽器にくらべ、しっかりした音の響きが得られるのでしょう! 甘い音は、いろいろな箇所の音程が、微妙にずれる時に甘さを感じます。特に左右のズレで感じるように思います。特定の数か所をピタリと合わせた時にも、甘い音色になります。少しズレているときにも感じます。 ・・・・・・つまり、少しズレるという度合は、限りなくピタリに近いズレということです。 人によってはピタリと感じ、人によっては、少しズレている・・くらい合っているということと思います。 必ずしも、上の条件でなくとも表現出来たり、そうでなかったりもします。ヴァイオリンはデリケートで難しい楽器です。 一瞬で艶を表現できたかと思うと、一瞬で、無くなったり、どこで、良い音と確信し、止めるか・・・調整は、難しい。 魂柱や、駒の調整では不可能な楽器本体としての性能を確定させる作業は難しい。 本来の楽器の音を見極めることが、楽器が、初めて完成したということになります。 そこまでが、ヴァイオリン製作者の仕事です! いつも いろいろな作業を繰り返すうちに、艶が得られたり、甘い音色が得られたりしますが、 同じ事をするわけではないので、もし どこを?と聞かれても分りません・・としか言えません。 駒、魂柱は、その音を 最低限~最大限、表現する付属品にすぎないと思います。 最低限でも良い音といきたいものです。 ※追記2015年・・・思いだした出来事・・甘い音色については、かつて今は亡き 茂木さんから、展示会の時、毎回私のヴァイオリンを鳴らしE線が甘い音がするね! と褒めてくださった。ヴァイオリニストの沼田さんからも同じことを言われました。当時はストラディヴァリが何をしていたか?デルジェズが何を考えていたか?こうやるとE線が甘くなる・・・という理由など考えていたわけではありませんでした。つまりE線が甘く無いヴァイオリンとはどんな音か?とは経験していなかった。それが当り前と思っていた。 シンプルな厚さの作りで、音が単純なヴァイオリンは、甘い音はまず出ないと考える。艶は出る可能性は有ると考える。 白木の段階で、どんなに部分的にデコボコでもバランスを完璧に板の調子を合わせると、シンプルではない魅力的な音が出る事は確かです。よく言うM-5,M-2,M-1の中でM-2の上下と、M-1の4箇所を合わせる。簡単に言うと、左右の厚さを対称にしない事を条件に、M-5、M-2を半音~1音くらいずらし、M-1の4箇所を完璧に合わせるという事を成し遂げると、その域に到達できる。耳が良くないと出来ない仕事です。・・か訓練を積む必要があります。私は何十年も訓練をしてきたので どういう事かが 何とか分かります。 しかし、この仕事は、必ずしもストラディヴァリとデルジェズの方法ではありません。 不思議なのは、どんなに違うヴァイオリンを作っても私の音になってしまうようです。製作者はみな そういった個性があるのではないでしょうか? ヴァイオリンはソプラノ楽器、E線が弱かったり魅力的な音がしないとガッカリします。 一方、ハッチンス式などで、オクターブ調整した楽器は、すっきり、はっきりシャープで抜けが良く、パワーが有る楽器が出来ます。私が思うには、確かに良い音であろうと思いますが、聞き慣れてくると 複雑な音の魅力が どうか???と満足できない。 構造は 複雑に作られているか、シンプルに作られているかが 大きく違う。 ハッチンスさんなどの考えを生かす作り方の楽器は、ヴァイオリンを構成する個々の部品を音響的に調整し名器共通のデータに近く作り、組み立てる=良い結果が得られる可能性が高くなる。 結論・・・そういう作り方は・・外見は綺麗に滑らかに、内部は、大雑把に でこぼこにでも、しかしモード調整は完璧 そのほうが、複雑な音色が得られると思う。 几帳面な1/100mmも正確に滑らかに作ると、弾き易いが、そういう味が無くなる。 ヴァイオリンの横板(side)の高さも音質に大きく影響します。低いと(28~29mm)は音がダイレクトな系統に傾く気がしますが味わいが減る気がします。30mm~32mmはないと甘い音、艶は作りにくく感じます。横板の高さも大事です。 細工の腕前と几帳面さが裏目になる可能性がある。 ・・・・も甘さ 艶の要素かも・・・・ ※ストラディヴァリウスの弾き方・・・・ストラディヴァリスも色々な個性があって、いろいろな弾き方があるとは思いますが、基本的に、ボーイングはロングストローク、全弓のように伸び伸びと、速く、軽く、大きなビブラートで弾けると、綺麗な音色で、大きな音が出せます。 そういう弾き方が出来た上で、しんみり、ゆっくり、深く・・ビブラートも指、手首、肘などいろいろな掛け方が出来ると、更にいろいろな表現だ出来素晴らしいと思います。 ※シルバートーン・・・ストラディヴァリやデルジェズに共通した 創り方をする中で、E線の音質を直すのですが、一本芯を創る時、カスレルような音色も発生します。そのカスレが協調されると それはシルバートーン。新しい木での芯の有る音は、10年もすると、シルバートーンとなるのかもしれない。そんな経験もしています。ほかの方法でシルバートーンになるのかも知れませんが、それはまだ発見できていません。前に述べた音の芯と、音色を良くする方法は、問題点があり音量が落ちます。音色は綺麗ですが、ハスキー感があり、芯があるから ちゃんと届く。だが音量が落ちる。特にデルジェズでは、そのためそういうように作ると、E線に強い弦を選ばないとバランスがとれない。特に1740年代のデルジェズはその傾向が強いように感じます。構造的な原因から それらは確認している。難しい・・・本物の音色を再現しようとする事は!こんな事だれもしていないでしょう!いや 誰も分からない世界かも知れない。いやはや難しいヴァイオリンは・・・ 言うのは簡単なんですが・・・・・・・・・・ ホームページまだの方はこちらからです Kuga Violin Atelier(久我ヴァイオリン工房) 久我ヴァイオリン工房 久我ヴァイオリン工房 久我ヴァイオリン工房
by cremonakuga
| 2013-04-26 21:55
| ♪♪音の謎♪♪♯♭
|
Trackback
|
Comments(0)
|
久我ヴァイオリン工房HP ↓
カテゴリ
全体 ★久我ヴァイオリンとは・・・ ★Profilo ★製作の取り組み ☆ヴァイオリン製作日記 ◎ヴァイオリン作品の一例 ◎ヴィオラ作品の一例 ♪♪音の謎♪♪♯♭ ◆クレモナニスの美 ◆演奏家の感想 ◆ヴァオリンの各部名称ほか ◆木材は? ◆ヴァイオリンが出来るまで ヴァイオリンの弾き方 ♪♪ Vnの音と付属品 ◆le forme ◆ストラディヴァリとグァルネリ ◆クレモナ、思い出の住居 ◆Allievaコーナー ◆ヴァイオリン・コンサート ◆食物・飲み物 ◆ 健康に!食物・飲み物 ◆旅行とヴァイオリン ◆ギャラリーNo1 ◆ギャラリーNo2 ◆ヴァイオリン工房散歩道 ◆作品について ◆友人小出さんをしのぶ 音楽コンクール他 ◆・・・Link・・・ 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 04月 2023年 03月 2023年 02月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 11月 2022年 10月 2022年 09月 2022年 08月 2022年 07月 2022年 06月 2022年 05月 2022年 04月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 06月 2021年 05月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 01月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 10月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 02月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 11月 2019年 10月 2019年 09月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 02月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 06月 2005年 05月 2004年 09月 フォロー中のブログ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||