下地ニス base vernice(2015,04,15追加)

久我ヴァイオリン工房
cremonakuga violino

cremonakuga 製

Modello: Antonio Stradivar i1709  'Marie Hall-Viotti'
Piano
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Fondo
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fascie
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Testa
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下地塗りの工程で、ほんの少し赤を使います。
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下地ニスを何回か染み込ませますが、本当は、その状態で、ほぼ使用の耐える楽器が完成しています。
色ニスは、塗り過ぎないような注意が必要です。

ヴァイオリンは下地ニスですべてが決まると言っても過言ではありません。
現在存在するクレモナの名器のニスは、ほとんど剥げて、今美しいクレモナの名器は、ほとんど新しく美しく塗られています。そのまま昔そうだったように違和感なく、住宅リフォームのように!

しかし、実際に同じ色素、樹脂、オイルで作るニスを塗ると、いかに脆く、冬は、カリカリ、パリパリ取れたり、暖かくなると、べたべたし跡が付いたり、寒暖の差が大きいと、あるいは皺ができたり、現代のニスに比べると弱いことを実感します。クレモナの名器が名器たる所以は、そこにあるようです。現代のヴァイオリンは、ニスが取れると、楽器の性能的には大方弱くなります。クレモナの名器は、弱くなりつつも、下地に染み込んだニスは、表以外にも内部表面にも塗り込められている訳で、ダメージは少なくなっています。
現代のクレモナでは、マスティックをテレピンオイルで溶いた薄いニスを何度も下地に塗るレシピがあります。
私もクレモナで製作した楽器は、それを塗りました。結果は、良好でした。音も硬くなく、デリケートな倍音も表現されました。
ストラディヴァリには、松ヤニ、リンシードオイル、クルミオイル、などが使われていましが、どんな松ヤニを塗るかでも、大きく異なるような気がします。
下地の深い場所からクルミオイルを多く(柔らかく)上部(クルミ少なくリンシード多く)塗り込みます。
デメリット・・・木に染みができやすい。
シミが少なくなるように、私はクルミ実皮から煮出したタンニンをごく薄く使っています。タンニンはゼラチンと同じような杢を浮かせる効果もあり、ニスも染み込ませられます。濃いと取り返しがつかなくなります。安物のドイツ、チェコなどのヴァイオリンになってしまうから、何度も何度もテストし、グレーな下地くらいで止めます。しかしニスを塗るとグレーがもう少し濃い方が良かったことが分かります。この失敗か?どうかすれすれのどこでやめるか?
本当に難しい。
30年いろいろやっても難しい・・・・この2012年のA.S1709にはクルミタンニンは使っていません。2014年には使用しています。

松ヤニは、弓の毛にも塗りますが、音の伝達(同じく電気の伝導)が速いことでも知られています。
表板に使う赤樅は、松科で、松ヤニを含みます。伐採する時期は、一番松ヤニの少ない時期に伐採します。
少量の松脂を含む木は、含まない木より長い年月では強度的に、含む方が強そうです。
アベーテビアンコは、松科ではなく、松ヤニを含まないと聞きますが、クレモナの名器は、現代のと同じくアベーテロッソ赤樅が使われているようです。
その木の表面に、再び、松ヤニを塗ることは、なぜ?と思うことと、なるほど相性が良い!と同時に思います。
その違いは、後から塗る松ヤニは、凝縮処理し、樹脂として固まり安いものを塗ります。
また、松ヤニは、年月で、黄変します。乾性油も黄変します。その応変が、独特な色の深さも醸し出します。
数か月から1年もすると、オールドの表情を見せてくれます。とても美しく!
しかし、その弱さから、現代では、そのことを納得し、美しく思う方でないと、ニスがすぐに取れるとクレームになり、商品として使いにくくなるのが、現状です。
私は、ニスは取れやすく、それこそがメリットで、取れたら取れた美しさを、美しいと感じる方、、必要に応じニスで補修することを事前に納得して いただいています。


私がオイルニスの時は使いませんが、
アルコールニスの下地ニスとして一般的な下地ニスです。
現代クレモナの下地ニスレシピの一つとしてご紹介します。

vernice base(sotto fondo)何て言うのか忘れましたが
マスティック・・・25g
テレピンオイル・・・・100cc

たっぷりニスを含ませ、刷毛または、タンポ磨りします。
何回も繰り返し塗り目止めの役目もします。
10日くらいかけて乾かします。
なぜマスティックなのか?・・・・と言いますと、マスティックは、固まりはしても柔らかい。
固まっても、簡単に割れます。舌で柔らかくなり、ガムにも使われたりすると聞きます。
私には、割れるというのが、重要と思います。私も試したことがありますが、リンシードだけ染み込ませるのは、リンシードは、固まるとゴム状にになります。表に出た分に亀裂は出来ても、割れる=砕けるのではなく、伸びて伸びきれず緩やかに裂ける裂けた間もへこんだような、気持ちよく割れな・・・・なんと言ったら良いか???

そんな点で、マスティックは良いとかは、分からないが、悪くは無いことは確かです。昔からのレシピで、松ヤニを使うレシピでも、マスティックを混ぜて使うことは有名です。


マスティック単体よりも楽器には良いかもと思います。
ヴェネチアン・テレピンバルサムとマスティックのニスは絵画用でも有名です。

ここで、松ヤニとは、総称ですが、
唐松から採取したバルサムをヴェネチアンテレピン・バルサムと言います。松ヤニでもあります。

マリティム松から採取したものは、やはり松ヤニですが、


ヴェテチアン・テレピン・バルサムから取った精油をヴェネチアン・テレピン精油と言います。
マリティム松から採った、松ヤニからの精油を  テレピン精油と言います。
同じようですが、別なものです。ベネチアンテレピンは、絵画にも使う透明度が高い(屈折率が高い)特徴があります。ほかのコロフォニウムダークと言われる松脂と大きく違います。
リンシードオイルも屈折率が高く、透明度が深いオイルです。

ここで言う屈折率の大切さは、特にヴァイオリンを見た時の木部の奥深くまで吸いこまれるように見える効果を言います。

昔も安いヴァイオリンは、普通のマツヤニ(コロフォニウムダークなど)のみを使い、少し高価なのは赤も南ヨーロッパ産のカイガラムシのケルメスレーキなどを使い、高価なヴァイオリンは唐松のベネチアンテレピンから使い、超高価な貴族からのオーダーなどはスペイン16世紀初頭からメキシコからもたらした・・・コチニールを使ったのだろうと思う。
コチニールも金に匹敵するくらいだったようですから・・・
安いコロホニウムダークもベネチアンテレピン由来も 樹脂のみで白熱光下ではオールド楽器の赤・・赤く見える。

つまり、クレモナなどでテレピン油から作るエッセンツァ・グロッサという黒っぽいドロッとしたものは、
ニスに透明度を高め、光沢を増すものは、ヴェネチアンテレピンのようなものを、テレピンで作っているよな気がします。
バルサム状態では、なかなか固まらない。
アルコールニスにベネチアンテレピンを溶かすには、湯煎しながら、少量を溶かすと良い。多いと柔らかすぎる事になる。完全に固まると今度は硬すぎる事になる。アルコールニスも透明度を増し美しくはなるのですが・・・・扱いが難しいです。
さあ、どうなんでしょか???違う事は明白と思います。
by cremonakuga | 2012-11-25 01:48 | ☆ヴァイオリン製作日記 | Trackback | Comments(0)
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